不動産業界の『歴史』を知り新しきを知る【温故知新】

温故知新」。

という四字熟語をご存じでしょうか?
意味は「昔のことを訪ねて、そこから新しい知識や見解を得ること」というものです。
古いものから学べることはたくさんあるという意味で、歴史を知ることは新しい知恵と知識になります。

今回紹介するのは、「不動産業界の歴史」についてです。

◆「不動産」が出来るまで

日本の歴史で、不動産の始まり、すなわち土地を「縄張り」として認識され始めたのは西暦300~500年ほどだといわれています。

年号 土地にまつわる出来事
645年 中大兄皇子・中臣鎌足が蘇我氏を倒し天皇を中心にした国作りが始まる。「大化の改新」土地はこれによって「公地」とされた
743年 墾田永年私財法」が定められ、土地の「私有化」に成功。この頃から土地を活用するという発想になってきた
1580年 豊臣秀吉が太閤検地を行って、「荘園」が消滅。これによって土地は「大名が管理する」ことに。
1603年 徳川家康が幕藩体制を整え、商業の発展がなされた。これによって、都市部に人口が集中し、長屋と呼ばれる今の賃貸住宅のようなものが出来る。
不動産の始まりはここからだといわれている
1867年 大政奉還によって、明治時代が幕を明けた。明治6年には地租改正が実施される。
これによって土地の税は物⇒金、耕作者⇒所有者へ変更となった
1880年~ 産業の発展にともなって、「不動産」という言葉が生まれる。それ以前に使用されていた言葉は「家屋敷」「地所」「家屋」などでした。
不動産の賃貸・売買・担保などが飛び交い、「仲介業」を確立させていきました。
1892年 三菱財閥が、当時のロンドンのビジネス街にならいオフィス街をつくる計画を立てました。1892年に竣工し、7年間で新たに4つのテナントビルが完成しました。
1910年 上野に木造洋風の5階建てのマンションが建ち、初めての集合住宅が出来る
1914年 東京駅が誕生
1916年 長崎にある通称「軍艦島」に日本初の鉄筋コンクリート住宅が建つ。
ただし、いまは立ち入り禁止の無人島である。このあとから東京やよこはまにも鉄筋コンクリートのアパートが建つようになります。
1923年 丸ビルが建設され、誰もが出入りできテナントが並ぶビルは当時画期的なものでした

その後…

・明治後期⇒都市化が進み、建売住宅など積極的に開発がされました。
・第二次世界大戦後⇒分譲・賃貸マンションの誕生。
・田園調布はその外観や街並みで憧れの的になった
・当時、マンションの価格帯は500~800万円。当時のサラリーマンの年収は20万円ほどだったので、遠い憧れの存在でした。

【日本最古の不動産会社】

1896年(明治29年)に、日本最古の不動産会社が創設されました。その不動産会社はいまも営業しています。それは「東京建物」という社名で営業しています。創業者は富山県出身の実業家・安田善次郎です。「安田屋(のちに安田商店と改称)」を開業し、安田銀行(のちの富士銀行となる。現在はみずほフィナンシャルグループ)を設立しました。彼は商才が非常にあり、様々なビジネスを手がけました。のちに損保会社(現在の損害保険ジャパン)や生命保険会社(現在の明治安田生命保険)などを次々に設立しました。これが安田財閥の礎となりました。

また、「安田財閥」は日本の四大財閥の一つです。他には三菱財閥、住友財閥、三井財閥があります。(よく知られている「三井不動産」は1941年(昭和16年)、「住友不動産」は戦後の1949年(昭和24年)の創業なので、安田善次郎はとても早くに不動産の礎を築いたことがわかります)安田善次郎は実業家として金銭感覚に優れており、安田財閥の資本は他財閥を抑え日本最大規模を誇っていました。安田一族は様々な方面で活躍している人が多く、ジョン・レノン(元ビートルズ)の妻でアーティスト・ミュージシャンとしても活躍していたオノ・ヨーコさんは善次郎のひ孫にあたります。

このように見ていくと、「不動産」は住むところから権力、統制、税金など様々なものに活用されていたことがわかりました。
歴史をみていてもわかるように、私たちにとっての今の不動産は歴史上の人物たちが一生懸命に作り上げてきた結果であるといえるでしょう。
日本を支えてきた背景の一つに不動産は大きく関わっていることでしょう。そして、不動産や土地というのは一部のお金持ちだけが手にできる特別なものでした。時代の移り変わりによって、一般的な家庭でも手にできる資産になっていったのです。今の状況を昔の人が知ったらビックリするでしょうね。

◆どのようなことを学べるか?

「不動産」はこのような時代を経て、今の形となりました。不動産売買や賃貸、投資など、様々な業種に分かれているものの、根本となっているのは一つの法則です。
人気の不動産にかかせない法則、それは「人口が集まるところに不動産も集まる」ということです。投資をされる場合は、この一点だけ覚えておいてください。

今の不動産はタワーマンションやシェアハウスなど種類は変わっていますが、元をたどれば「長屋」でした。いずれも、立地の良い場所に建てられました。我々にとってもっとも価値のある不動産、それは「立地の良い場所にあるか」という一点だけです。様々な知識がありますが、歴史は物語っています。たった一つ忘れてはならないものなのです。

◆まとめ|不動産をみるときは立地でみろ

いかがでしたか?

不動産の歴史を知ることで、現在に活かす知恵を知る。まさに「温故知新」ですね。
歴史は私たちに様々なことを教えてくれるとともに、原点に帰してくれます。過去の不動産による失敗はあるのでしょうか?これから東京オリンピックに向けて不動産バブルが崩壊するといわれていますが、こういった失敗は歴史上あるのでしょうか?こちら(⇒2020年東京オリンピックの影響は?不動産はババ抜き化していた【コラム】)でも紹介していますが、いまは不動産市場は危ない状態だといわれています。過去を振り返り、解決の糸口を見つけたいものです。

今回は「立地の良い不動産」が良いでしたが、おそらくもっと歴史を知っていけば様々なことを教えてくれているのでしょう。

いまや不動産の情報がコンピュータネットワークシステムでわかる「レインズ」や様々な情報がインターネットに転がっています。信ぴょう性の低いことに振り回されたりもしますが、一度原点に帰り、不動産の見方を見つめ直してみてください。

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