売却しよう「サラリーマン大家」流行の影に不動産業界の闇をみた

何年前でしょうか。「サラリーマン大家」という単語が大流行し、サラリーマンの夢は「大家になって家賃収入で生活すること」といった人も多くなりました。サラリーマンでも大家になれる、大家=投資家といったイメージとのギャップを生んだこの言葉でしたが、その実情はご存じですか?単語の一人歩きで大流行した出来事の裏で、実情はあまり知られていません。

今回紹介するのは「サラリーマン大家のその後」です。
賃貸経営のコツ、ハマってしまいがちな罠から、そう甘くない不動産業界の裏側が見えてきました。

◆不動産は儲かる

いままで、「不動産は儲かる」そう言われてきました。それはビジネスモデルとしてしっかりと成り立っているからで、損しない仕組みが出来ているからなのです。
不動産業界を細かく分けると多少変わってきますが、基本的に「元請け業者」でお客さんと直接取引を行い、仕事を差配する立場にあります。元請け業者は損をする仕組みに出来ていません。だからこそ儲かるといわれているのかもしれません。もちろん、偽装したり悪いことをした場合は別です。そういった場合を除き、損が出ない仕組みが出来ているということは非常に素晴らしいビジネスモデルであるといえるでしょう。

◆「サラリーマン大家」ブームの裏で…

しかし、この過信は思わぬ事態を引き起こしかねません。上記で「やっぱり不動産業界は儲かるんだな~」と思った方は要注意です。一方から見ると儲かるように感じることでも、その実情を知らなければ何のノウハウもなく丸腰で立ち向かうようなものです。「不動産は儲かるらしい」といった言ってしまえば噂話を鵜呑みにして、投資家になろうとすると酷い目に遭うかもしれませんよ。

少し前に起こった「サラリーマン大家」ブームでも、これと同じようなことが起こっていました。厳密にいえば、不動産業界全体で素人を騙したとも言い換えられるムーブメントでした。
というのも、「サラリーマン大家」という単語が爆発的に流行し、アパート経営を夢見て不動産を購入する投資に初めてのサラリーマンが増えてしまったことで、成功する者と失敗する者の明暗を大きく分けてしまったのです。
その証拠となるのが日銀が2月9日に発表した「貸出先別貸出金」において、金融機関が不動産向け融資を行ったのが70兆3592億円、前年同月と比較すると約7%も上がっていたのです。その内の31.5%が「個人による貸家業」なので、個人で家を買っている人の割合です。つまり、個人による不動産投資やアパート経営の融資がこの2年で大きく伸びていることがわかります。

しかし、これには思わぬ罠が数多く待ち受けているのです。不動産投資はそう甘くないと痛感する事実をみていきながら、失敗の原因を探っていきましょう。

◆不動産投資で多い失敗

不動産投資知識のない人がいきなり物件を吟味し、勘違いしやすい落とし穴があります。それは、中古物件の購入を考えたり、ワンルームマンションを検討したり、周辺の情報を調べず向こう見ずな考えで購入してしまうといったケースです。
一見すると何が間違っているかわからないようなことでも、本物の投資家は絶対に手を出さないものに初心者は簡単に手を出してしまうのは危険な行為そのものです。

中古物件は手を出しやすく、買ってすぐに賃貸に出せば家賃収入になる!と考える方も多いでしょう。一見メリットが多く大家になるのにはもってこいだと考えがちですが、よく考えてみてください。そもそも、良い物件であれば前の大家は手放しません。様々な事情があると思いますので、まずは「なぜ手放したか?」という疑問を持つことからです。すぐに修繕をしなければならない状態であったり、周辺状況の変化(例えば、近くに大学があり賃貸のターゲットは学生だったにもかかわらず、大学が廃校になってしまった)など、状況によって借り手が激減する場合もあります。「いかに空室を出さないか」が鍵になってきます。

また、空室を出す原因ともなる「間取り」ですが、ワンルームマンションはあまりオススメできません。マンションのワンルームだけであれば例えばマンション1棟購入して行う経営ではなく、手頃に出来てしまいます。価格の低さや小規模で出来るので手を出しやすく、その上住宅ローンを組むとしても頭金ゼロや低金利・フルローンといった宣伝文句に誘惑されてしまいます。ワンルームマンションはその手頃さ故に「自分でも大家になれるんだ」と実感を持ってしまう点も危険なのです。

蓋を開けてみれば、ワンルームマンションで手元に入るお金はお小遣い程度にしかならないという現実が待っています。計算するとすぐにわかるのですが、例えば家賃8万円だとして年間約100万円ほど。そこからマンションの管理費・修繕積立費管理手数料を引くと年間15万円くらいはかかる計算になります。ローンの返済があるのでそれを月々6万円ほど払うと、手元に残るのはごくわずかです。

【例:ワンルームマンション(家賃8万円)】

・収入: 8万円×12ヶ月=96万円
・経費: 管理費・修繕積立費・管理手数料などモロモロ15万円
・返済: ローン返済6万円

年間9万円⇐ここから固定資産税などの税金関連を引かなくてはならない

こうしてみると、本当に残るお金はお小遣いほどだということがわかると思います。

そしてこれが、あくまでも入居者がすぐに見つかった場合を想定しているということも忘れてはいけません。ワンルームマンションの入居率はゼロか100と極端です。下手すると赤字になるなんてことも十分に考えられる話です。

失敗している人はこのような点で見落としている部分がないかもう一度確認してみてください。

◆「サラリーマン大家」という言葉はまかやし!?

実は、こんな説があるのをご存じでしょうか?

サラリーマン大家という単語で不動産投資を世間に広め、住宅ローンを組ませ首が回らなくなったら取り上げる

もしかすると、サラリーマン大家の裏側には、壮大なストーリーが隠されているかもしれません。
というのも、現在は物件が余っている状態で、尚且つ土地や建物を思い通りにしたい企業がたくさんいます。

シナリオはこうです。
サラリーマン大家という単語を流行らせ、投資に初心者のサラリーマン層に家を買ってもらう。住宅ローンを組み、出来る限り返済をさせる。しかしなんせ余っている物件が多く借り手がそう簡単には見つからない。不労所得を得ようとしていたが、住宅ローンの返済催促だけがきて、肝心の収入がない。そのうち首が回らなくなり、泣く泣く不動産を手放す。→家ゲット!

つまり、家をゲットするための口実として、不動産投資ブームを起こし、破産に追い込んだのではないかという説です。
不動産を扱ったことがない人は業界の流れや派生情報はあまり知りません。
大家さんになったからといって、借り手がそう簡単に現れないことも見込んだ抜かりのない作戦なのではないかと思うのです。

これは壮大に計算された「無知なサラリーマンから不動産を取り上げよう作戦」に思えてならないのです。

◆まとめ|不動産投資はそう甘くはない

いかがでしたか?

繰り返し伝えますが、最後の「サラリーマン大家の裏側」とした壮大なスケールの戦略は推測でしかなく個人的な印象です。しかし、不動産投資においてリスクはしっかり把握しておいた方が良いというのは事実です。
不動産投資はハイリスクハイリターンだとされていて、素人が簡単に手を出すべきではないのもうなずけます。
しっかりとした知識と情報を持って、計画的に行うことをオススメします。
世間の風潮に流されず、自分の意見を持ってやりましょう。

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