「住み替え」「離婚」「相続」「資産整理」不動産を売る目的別のアドバイス

不動産を売るときは、通常の売却ではない「特殊な状況」で売却することもあります。良くある場面としては、「住み替え」「離婚」「相続」「資産整理」の4パターンです。そこで今回はこの4つのケースに関して注意するべきことを解説します。

 

1.住み替え時の注意点

住み替え時の注意点は以下の3点です。

①仮住まいの発生

②ダブルローンの発生

③資金計画の変更

 

住み替えをするときには、新しい家を買う前に今の家を先に売る「先売り」のパターンと、今の家を後で売る「後売り」の2つのパターンがあります。

1-1仮住まい

 

先売りのパターンを選択した場合には、仮住まいを覚悟しましょう。今の家を引渡してすぐに新しい家に住めれば良いですが、中々そうもいきません。そのため、一時的に賃貸物件などに仮住まいする可能性があります。

1-2ダブルローンの発生

 

一方、後売りのときはダブルローンの発生確率が高いです。つまり、今の家の住宅ローンが残ったまま新しい家の住宅ローンを組むので、住宅ローンの支払いがダブルになるということです。この場合は、今の家が売れるまでダブルローンは続きますので注意しましょう。

詳しくはこちら(⇒ダブルローンを使って不動産を売却するには?

1-3資金計画の変更

 

また、後売りの場合には資金計画が変更される場合があります。なぜなら、今の家が売れていないので、その売却金額が予想より下回る可能性があるからです。そのため、今の家の売却金額は査定額以下の金額で計画することをお勧めします。

 

2.離婚時の注意点

 

離婚時の注意点は「売却してから財産分与する」という点です。場合によっては、「慰謝料として夫が住宅ローンの支払いをして妻が住み続ける」というパターンもあります。しかし、このパターンは以下のようなリスクがあるのです。

①夫が支払い不能になれば住宅に住み続けられない

②売買や賃貸するときには夫が主導する

 

一番のリスクは、将来的に夫が住宅ローンの支払いが厳しくなったときです。夫が住宅ローンを支払えなくなれば、金融機関は不動産の処分に入ります。つまり、慰謝料としてもらったはずの住居に、妻は住み続けられない状況になるということです。さらに、妻が連帯保証人になっていれば、妻に住宅ローンの債務が降りかかってしまいます。 

また、不動産の売買や賃貸は、基本的には名義人が行います。仮に名義人が夫のままだとしたら、妻の意思では不動産の売却や賃貸を決めることはできず、夫の意思が必要です。つまり、離婚した後も関係性を断ち切ることができないということです。そのため、離婚時の不動産時はまず「売却すること」を決断するべきです。

 

また、不動産会社は「調整力」のある不動産会社を選びましょう。この調整力に関しては次項で詳しく説明します。

こちらでも詳しく紹介しています。(⇒離婚による財産分与は不動産業者の専門外!査定や比較は鑑定士へ

3.相続時の注意点

 

相続時の注意点は離婚時の注意点と似ています。結論からいうと、財産分与は「売却」することがべストです。相続の際に不動産を売却せずに名義人を共有名義で相続すると、前項と同じく「名義人の意思がないと売却・賃貸できない」という面倒な事態になります。(⇒相続で手に入れた不動産を上手に売るには?

 

また、不動産会社選びは前項と同様「調整力」が大切です。ここでいう調整力とは以下のような要素を持った営業マンのことです。

①相続人全員の仲を調整できる

②売却価格と引渡し時期を事前に決められる

 

まず、名義人の仲を調整する必要があるので、売却する仲介会社を依頼するときには相続人全員が営業マンと会っておきましょう。これは離婚時にも同じことがいえます。

 

また、売却価格と引渡し時期については、事前に相続人全員とすり合わせておく必要があります。なぜなら、売却活動中に値引き交渉が入った際、最初に売却金額と引渡し時期を決めておかないと相続人同士で揉める危険性があるからです。この点も、離婚時でも同じことがいえます。

 

そのため、これらの「調整」ができる不動産会社を仲介会社として選ぶ必要があるのです。

 

4.資産整理時の注意点

 

資産整理の際の注意点は競売ではなく、任意売却にすることです。そもそも資産整理とは、住宅ローンが払えなくなったときに住宅を売却することをいいます。そのときに「競売」になってしまうと、相場価格の57割程度まで金額が下がってしまうのです。

 

任意売却をするときには以下の点に注意しましょう。

①不動産コンサルタントに依頼する

②住宅ローンはなくならない

③個人信用に履歴が残る

 

まず、金融機関と「任意売却をする」という交渉は、プロである不動産コンサルタントに任せましょう。そのため、資産整理の可能性が出た時点で、すぐに不動産コンサルタントに連絡することをお勧めします。任意売却は、こちらから手続きをもちかけないと、競売の手続きで進められてしまうので早めに相談しましょう。

 

また、任意売却は住宅ローンがなくなるワケではありません。あくまで、一括返済しなくてよいだけで、住宅を売却した後も分割で返済していく必要があるのです。

 

さらに、任意売却をすると個人信用情報に履歴が残ります。この履歴は510年ほど消えません。そのため、履歴が残っている期間は新たな借り入れを起こすことは難しいのです。

詳細はこちらでも⇒住宅ローンが支払えず売却するときの方法&残債の支払い方法

 

5.まとめ

 

このように、特殊な売却をするときには、通常の売却時には注意しなくて良いことも注意しなくてはいけません。いずれにケースも事前にどんなリスクやデメリットがあるかを把握して、そのリスクとデメリットを避けるために行動しなくてはいけません。

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