マンションと戸建ての寿命はいつ?住まいの健康診断

マンションは老朽化が激しい、ですとか、新築物件でさえ建てた瞬間から価値は下がっていく、ですとか、築10年で価値はほぼゼロになる、ですとか、家の寿命に関する説は数多くあります。

最近ではマンションの建て替えのCMをよく見かけます。これは、老朽化したマンションの建て替え工事を促しています。時期的に見ても丁度いいですからね。

そもそも、マンションや一戸建ての寿命はどのくらいなのでしょうか?そして、それはどのように決まるのでしょうか?

これから紹介するのは、住まいの寿命に関してです。その不動産がどのくらいの寿命かがわかることによって、購入や売却に役立ちます。どのような要因が寿命を決めているかも合わせて紹介していきます。

◆「マンション」の寿命

マンションは一般的・タワーマンションに分けて考えてみましょう。

◇「一般的なマンション」の寿命

一般的なマンションは、法定耐用年数を47年としています。つまり、国の税法上の耐用年数でいうと47年という意味です。一般的に、47年で価値がゼロになる計算となります。これはあくまでも税法上ですので、実際に比較するとズレが生じます。例えば、自動車であれば4年、自転車であれば2年、パソコンは4年、など法定耐用年数が定められています。これがベースとなり、通常の使用方法や使用時間であればこのくらい持つとされています。少しザックリしていますが、これが一般的な考え方です。もちろん、47年過ぎるとボロボロになるわけではありません。

では、実際の寿命はどのくらいだと考えられているのでしょうか?建設された年代や場所、コンクリートの材質などによっても異なりますが、一般的な話をするとマンションの寿命は60~100年程度だといわれています。言ってしまえば、マンションは使用期限が長いということです。しかし、多くの場合60年も経っていないマンションの建て替え工事を行っています。これはなぜかというと、古いマンションには震度5強程度の旧耐震基準が採用されているため、大地震には耐えられないかもしれないのです。そういったリスクヘッジのため建て替え工事を勧めているのです。

◇「タワーマンション」の寿命

タワーマンションの寿命は専門家の間でも意見が分かれていますが、一般的なマンションと同じように60~100年だといわれています。タワーマンションは歴史が20年程度と浅く、データが少ないので、未知数なのです。もちろん、寿命は60~100年程度というのも、適切に修繕したりメンテナンスをしっかり行った場合です。

タワーマンションは足場を組めないので、大きな工事が出来ません。そのため、修繕工事やガラス掃除などには屋上から吊るゴンドラか移動昇降式足場(リフトクライマー)を使って行います。もちろん、工事の際に強風であれば行えません。そして全体的にみて、工事期間も長く工事費用も高くなります。また、大規模な工事を行う場合は所有者の過半数の賛成を得て、工事費用は住民からの修繕積立金から捻出され行われます。

上記のようにタワーマンションは、大規模な工事がしにくいです。修繕に対するハードルが高く設定されている分、寿命が短いのではという意見もあるのです。これが専門家によって意見が分かれている原因です。タワーマンションの寿命に関しては、もう少し歴史を重ねないとわからない点も多いようです。

◆一戸建ての寿命

一方、一戸建ての寿命はどのくらいなのでしょうか?目安を、「価格査定マニュアル」と「一般的に言われる寿命」からみていきましょう。

下記の表はこちら(家は築10年で価値がゼロになるって本当?)で紹介した「価格査定マニュアル」です。そのマニュアルによれば、家の築年数と査定価格には、以下の表のような査定ポイントがあるようです。

「価格査定マニュアル」は不動産業界の健全な発展を目的とした団体「公益財団法人不動産流通近代化センター」(旧不動産流通近代化センター)という公益法人のHPに載っています。戸建て住宅は「原価法」、マンションや住宅地については「事例比較法」により査定されます。

築年数 ポイント 築年数 ポイント
1年 +13.5 11年 -1.5
2年 +12 12年 -3
3年 +10.5 13年 -4.5
4年 +9 14年 -6
5年 +7.5 15年 -7.5
6年 +6 16年 -9.5
7年 +4.5 17年 -11.5
8年 +3 18年 -13.5
9年 +1.5 19年 -15.5
10年 0 20年 -17.5

※築21年以上は、1年ごとに-2.5を加算
※「+」はプラス査定、「ー」はマイナス査定

このように、築10年でプラスマイナスゼロとなっていることから、価格査定マニュアルでは築10年で家の価値はゼロになります。

下記は「一般的にいわれる寿命」です。

耐久年数 家の種類
税法上 実際
47年 40~90年以上 鉄筋コンクリート構造(マンション含む)
22年 30~80年程度 木造住宅
34年 30~60年程度 鉄骨構造

税法上と実際の耐久年数はかなりの開きがあることがわかります。また、寿命はメンテナンスの有無によっても上下します。

◆寿命を決める4つの要素

不動産の寿命を決めるのは下記の4つの要素があります。

管理(運営や修繕)
材料(材質や成分)
造り(建築方法や設計)
立地(周囲の環境や地盤の状態)

パソコンでいうと、使い方や使用時間などが劣化に関係してくるのと同じです。不動産は上記の4つの要素によって、寿命が短くなるか長くなるかの分かれ道があります。

それぞれ解説していきましょう。

① 管理(運営や修繕)

これは人でいうと専属ドクターです。不動産の寿命を気にするのであれば、「管理」は最も外せない要素です。管理には運営や修繕なども含まれていますから、いわば不動産の要の部分なのです。

不動産の所有者が「長く持たせたい」という気持ちでないとそれは実現しません。マンションは特に所有者が多く管理組合の運営が大切になってきます。所有者の意識の問題が非常に重要になります。

② 材料(材質や成分)

何で出来ているかはとても大事です。木造なのか、コンクリートなのか。コンクリートの中でも、質は良いのか悪いのか。

マンションの建設ラッシュであった70年代は特に質が下がっている恐れがあります。というのも、建設ラッシュによって材料が足りなくなったコンクリートに、水洗いが十分でない海の砂が使われていることがあったのです。鉄は塩分に弱いです。そのため、マンションの鉄骨や鉄筋を腐らせてしまうことも多いのです。1970年代に作られたマンションは特に要注意です。

最近ではコンクリートの質が上がってきているので、100年単位の耐久性が確率されたコンクリートも登場しています。中には500年の耐久性を持つ桁違いのコンクリートまで…

また、一戸建ても例外ではありません。特に木造は、昔と比べると質は下がっています。昔の木造戸建ては一本の木から造られていて、頑丈なものでした。数十年、数百年単位の家を残そうと建築されていたからです。しかし、最近のフローリングなどに使用される「木」は薄く、使い捨てのインスタントで見かけ倒しであることが多いです。昔ながらの築古と現代のコンクリ戸建ては大きな差が生まれているでしょう。

③ 造り(建築方法や設計)

構造別で強い順は、S造(鉄骨)<W造(木構造)<RC造(鉄筋コンクリート)<SRC造(鉄筋鉄骨コンクリート)となります。

それぞれの特徴は下記のようになります。

・鉄骨構造(S造:Steelの略称)
⇒柱や梁などの骨組に鉄骨を使用した構造。鉄鋼材の柱

・木構造(W造:Woodの略称)
⇒主要な部分に木材を使った構造で、軽いため加工・組み立てがしやすい・梁は工場で加工されており、それを現場でボルトでつなぐので、製品が安定している

・鉄筋コンクリート構造(RC造:Reinforced Concreteの略称)
⇒柱・梁・床・壁が引っ張り力に強い鉄筋と圧縮力に強いコンクリートで構成されており、S造より強固

・鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造:Steel Reinforced Concreteの略称)
⇒鉄骨の柱の周辺に鉄筋を組み、コンクリートを打ち込むので、RC造よりさらに強固

加えて、コンクリートのかぶりの厚さも耐用年数に影響します。かぶりの厚さは鉄筋を包むコンクリートの厚さをいい、厚さが厚ければ厚いほど耐用年数が増すとされています。目安としては、厚さ3cmで耐用年数65年、4cmで耐用年数100年になるといわれています。

このように、不動産の構造によっても寿命は変わります。

④ 立地(周囲の環境や地盤の状態)

不動産の寿命には立地が大きく関係しています。先ほども述べたように、鉄骨や鉄筋は塩分に弱く、塩分が腐食を引き起こします。そのため、海沿いにある不動産は劣化が早いのです。海水が侵食してきたり、風に乗って劣化を加速させます。また、都会にある不動産も注意が必要です。排気ガスがコンクリートの腐食を早めるといわれています。しっかり対策を行わなくてはなりません。

また、土地の地盤も大切です。地盤が弱い・強いはありますし、プレートも関係してきます。特に日本は地震大国なので、プレートによる大地震予測も必要です。不動産の地盤リサーチは必ず行うべきです。

このように、立地による環境や地盤の影響を見極め、適切な対処をすることが求められるでしょう。

◆重要視すべきはココ!

上記の中でも、特に重要視してもらいたいところは下記のようになっています。マンションは「管理」、一戸建ては「立地」としています。詳細をみてみましょう。

◇ マンション ⇒ 管理

特に重要視していただきたい点は、マンションだと「管理」です。マンションは管理に価値があります。それほど、運営や修繕がマンションの寿命を左右するのです。マンションを購入する際は不動産会社から「重要事項調査報告書」をもらうようにしましょう。これにはマンションの管理に関することが記載されていて、修繕履歴や修繕積立金や修繕の予定まで知ることができます。これをみることで、マンションがどのような管理を行っていて、いつ頃修繕予定があるのかなどがわかります。そのため、「マンションを購入してすぐに寿命が来てしまった」「マンションを購入してすぐに工事があるようだ」といったバッドタイミングも防ぐことができます。

◇ 一戸建て ⇒ 立地

一戸建てで重要視していただきたいのは、「立地」です。マンションとは異なり、管理は所有者自身が行い、大勢はいません。一戸建てで最も変えられず、影響が大きいのが立地です。地震などの災害を含め、一戸建てには直接的な要因となります。それらは自分で行動して調べなくてはなりません。そういう点では、4つの要素をまんべんなくクリアし、寿命を延ばしていきたいところです。

戸建てはメンテナンスも自分たちで行うため、長持ちさせたいという気持ちが大切です。それらは立地だけではカバーできません。寿命を延ばす行動が全体的にバランスよく必要になってくるでしょう。

◆不動産の寿命に関するまとめ

いかがでしたか?

不動産の寿命は、マンション・戸建ての種類から、構造によっても異なります。しかし、ただ一つ言えるのは「不動産のメンテナンスをすることで寿命を延ばすことができる」ということです。

住まいをキレイに大切に使いたいという気持ちで、日々家をメンテナンスしておきことが鍵となります。修繕やメンテナンスを行っていなければ、持つものも持たなくなってしまいます。寿命はケアによって変わるのです。

大事な4つの要素

管理(運営や修繕)
材料(材質や成分)
造り(建築方法や設計)
立地(周囲の環境や地盤の状態)

これらに気をつけながら、出来る限り長く保っていきましょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする