不動産売却では「クーリングオフ」は適用されるの?

クーリングオフ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。クーリングオフは消費者を守る制度であり、クーリングオフが適用されるかどうかは消費者にとっては大事な要素になります。不動産のクーリングオフに関しては、ほかの商品と比べて少々複雑です。

そこで今回は、不動産売買におけるクーリングオフ制度について詳しく解説します。万が一に備えて、諸条件を認識しておきましょう。

1.クーリングオフについて

そもそもクーリングオフとは、モノを買った後、一定期間内に進言すればキャンセルができるという制度になります。これは、悪質な販売への対応や、冷静な判断ができない状態で売買契約を結んでしまった消費者を守るための制度になります。

不動産売買におけるクーリングオフは、不動産を購入するために売主と結んだ売買契約をキャンセルすることをいいます。ただし、後述しますが、全ての売買契約がキャンセル対象ではなく、クーリングオフが適用できるかどうかには条件があるので注意しましょう。

また、クーリングオフの手続きに関しては以下の点も注意しておきましょう。

・クーリングオフの手続きは、必ず「書面」で行う必要がある

・書面を郵送するときには内容証明郵便の方が望ましい

クーリングオフは口頭で進言しても後から証明するものがなければ成立しません。そのため、クーリングオフ手続きは書面で行い、発送日や受取確認が記録される内容証明郵便で郵送することが望ましいです。

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2.不動産売買のクーリングオフにおける条件

つづいて、不動産売買でのクーリングオフの条件を解説します。不動産は高額な商品であるため、クーリングオフが適用されるかどうかの条件も複数あります。不動産を購入するときにはクーリングオフ前提で購入することはないと思いますが、万が一のためにしっかり確認しておきましょう。

2-1期限に関しての条件

まず、クーリングオフができるかどうかの期限があります。期限を定めないと、売主側からするといつまで経ってもキャンセルリスクがあるということなので、その点は売主側の観点から定められています。

クーリングオフの期限は、クーリングオフの告知日から8日以内になります。告知日は通常「申込日」になるので、申込日を含めて8日以内にクーリングオフを進言する必要があるということです。

クーリングオフ告知日から8日以内に「クーリングオフ通知書」を発信すれば良いので、配達記録上で告知日から8日以内に発送すれば良いということになります。そのため、先ほどいったように「内容証明郵便」が望ましいのです。

書面の形式に決まりはありませんので、インターネットからフォーマットをダウンロードするか、心配であれば弁護士に依頼して通知書を作成してもらうこともできます。もしくは、関係が良好であれば不動産会社にフォーマットをもらって記入するという方法もあります。

2-2売主・買主に関しての条件

不動産売買契約のクーリングオフをするためには、以下のような売主・買主である必要があります。

・宅地または建物の売買契約であること

・売主が宅地建物取引業者である

・買主が宅地建物取引業者ではなく「個人」

山林や農地、駐車場であっても「宅地」と見なされます。また、「売主が宅地建物取引業者であるとき」がクーリングオフの条件になっているので、基本的に個人間での売買である中古不動産売買の場合にはクーリングオフが適用できないケースが多いです。

つまり、不動産売買におけるクーリングオフは、売主が宅地建物取引業者という「プロ」である新築不動産の売買で、かつ買主が素人である「一般個人」の場合に発生するということです。

2-3場所に関しての条件

不動産売買でクーリングオフできるかどうかは、申込・契約を締結する「場所」も重要になります。クーリングオフができる条件は、「宅地建物取引業者の事務所以外での申込または契約であること」です。

つまり、逆にいうと不動産を購入する前の「申込」を事務所で行っていれば、その後の売買契約の手続きの場所が事務所以外でも、クーリングオフはできないということになります。このように、クーリングオフできるかどうかは、申込時の「場所」によるという点は覚えておきましょう。

なぜ、「申込場所」が重要かというと、申込をするときが不動産の購入を「決断」するときだからです。そのときに冷静な判断がしにくいであろう場所であるときには、クーリングオフが適用できるというワケです。

また、そのほかの条件として「宅地または建物の引渡し前で代金全額を支払っていないこと」があるという点も認識しておきましょう。

3.まとめ

不動産売買におけるクーリングオフは以下の点を認識しておきましょう。

・クーリングオフの期限は告知日(申込日)を含めて8日以内

・基本的には売主が宅建物取引業者であり買主が個人である新築不動産売買でしか適用されない

・申込を事務所などで行うかどうかがクーリングオフ適用の可否を左右する

少々複雑ですが、特に新築不動産を売買するときには注意しましょう。

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