マンションなどの不動産売買の契約は、売主と買主とその仲介業者が揃った場で契約書に記名・押印をするのが一般的です。
しかし、売主と買主の住んでいるところが遠くて三者揃っての契約が出来ない場合、または双方が忙しくて予定が合わない場合などには、仲介業者がそれぞれから記名と押印を取りにいかなくてはなりません。
これを、「持ち回り」または「持ち回り契約」と呼びます。
◆持ち回り契約の基本的な流れ
まず、仲介業者が双方に書類一式(売買契約書・現状確認報告書・付帯設備表など)を郵送で送り、それぞれで契約内容の確認を行ってもらいます。郵送ではなく直接持ち込んで確認する場合もあります。
書類の内容を確認し、問題がなく変更もなければ、それから契約手続き開始となります。
記名・押印の順番については下記で詳しく紹介します。
《順番が 買い手⇒売り手 の場合》
仲介業者が買い手の記名・押印を求めます。そして、売り手は手付金が振り込まれていることを確認して、問題がなければ売り手にも記名・押印してもらいます。
《順番が 売り手⇒買い手 の場合》
仲介業者が売り手の記名・押印をもらいます。その後、買い手のもとを訪れるのですが、この際に買い手から手付金を不動産業者が預かります。それを証明するための預かり証を受け取とり、その手付金を売り手側に渡したら契約完了です。
基本的な流れはこんな感じです。
仲介業者が間に入って双方から記名・押印をもらい、手付金が売り手側に渡ったことで、契約は完了します。
双方の都合によって変更されることもあります。
◆持ち回り契約のメリットとデメリット
メリットは記述のとおり、距離的に厳しい場合や予定が合わない場合なども、仲介業者が取り持って契約を円滑に進めることができます。
また、持ち回りは双方が遠い場合に行われることが多いですが、あえて持ち回り契約を希望するシチュエーションもあります。
それは、双方が顔を合わせたくない場合です。理由は様々ですが、例えば値段交渉で揉めたとき、そもそも関係が悪い(離婚など)といった理由からです。
そういったときにも持ち回り契約は非常に便利なものなのです。
そしてデメリットがあるとすれば、契約のタイミングの「時差」にあるでしょう。
契約するタイミングが微妙にズレるので、どちらかの気が変わってしまったらトラブルのもととなります。
契約自体に効力が発生するのは双方が記名・押印したときですが、片方が記名・押印したあともう片方の気が変わってしまったら、契約がなかったことになってしまう可能性もあります。
いずれにしても、仲介業者の仕事はとても多いので、信頼できる担当者の方に頼みましょう。
その担当者にかかってる部分は多いですからね。