住宅ローンのからくり、巧妙な金利の罠に注意!

住宅ローンは、一千万円単位で借り入れを起こしますので、月々返済額も十万円を超えることが多いです。そのため、住宅ローンは目先の返済額などに惑わされがちですが、注意するべき点があります。一見すると分かりにくい点も多いので、今回紹介する金利の罠に注意しながらローンは選びましょう。

1.変動金利は元本が減っていないことがある

住宅ローンを組んでいる人は、元本がどの程度減っているかを確認する必要があります。特に、変動金利は半年ごとに金利を見直しているので、実は知らない間に元本と利息のバランスが変動しています。

1-1元利均等返済について

あまり知られていませんが、住宅ローンには元利均等返済と元金均等返済があります。簡単にいうと、元利均等返済は「返済額を一定にして利息と元本の内訳を変動する」という返済方法で、元金均等返済は「元金の支払いを一定にして返済額を変動する」という返済方法です。

多くの人は元利均等返済を自動的に選択しており、場合によっては元利均等返済と元金均等返済の説明を受けない場合があります。なぜなら、住宅ローンを斡旋する不動産会社は、返済金額が月によって変わる元金均等返済だと、最初の返済額が高くなるので案内したくないからです。

ただ、元金均等返済の場合は、元金がどんどん減っていくので利息も減っていきます。そのため、徐々に支払額が減っていき、総返済額も元金均等返済の方が少ないです。

一方、元利均等返済は、毎月の支払額を一定にするために、金融機関の方で元本と利息の支払いを調整しています。そのため、最初の支払いは利息部分の支払いの方が多く、総返済額は元金均等返済よりも多くなるため、「総返済額のチェック」が重要になってくるのです。

1-2変動金利の1.25倍ルール

変動金利の1.25倍ルールにも注意が必要です。まずは、1.25倍ルールも含めて、変動金利の簡単な仕組みを以下にまとめます。

変動金利は半年に1回金利の見直しがある

変動金利の返済額は5年間変わらない

5年ごとに返済額が変わるが元々の1.25倍以上の返済額にはならない

このようなルールになっていますが、あくまで「半年ごとに金利が見直されている」点には注意しましょう。仮に、金利が上がっているのであれば、実は返済額に占める利息と元本の割合が変わっています。金利が上がっているので、当然利息が増えているということなり、裏を返すと元本があまり減っていません。

それでも、「どんなに金利が上がっても返済額が1.25倍以上になることはない」と安心している人もいますが、実はこれが大きな罠になります。仮に、本来であれば「返済額が1.25倍以上になる」という状況まで金利が上昇したとします。

しかし、125倍以上は返済額が上がることはないので、そのときは「未払い利息」が発生しているのです。「未払い利息(1.25倍を超える部分)は支払う必要がない」と勘違いしている人が多いですが、この未払い利息の分は帳消しになるワケではありません。

未払い利息が発生すれば、どこかのタイミングで返済が求められます。一括での返済が求められケースは少ないですが、分割で支払うケースが多いです。未払い利息の支払い方法は金融機関によって異なるので、気になる方は金融機関へ問い合わせてみましょう。

家を購入すると決めた矢先の悲劇!住宅ローン組める?不動産業界の闇?

2.優遇金利は変更になる可能性がある

住宅ローンを組むときには、優遇金利にも十分注意が必要です。なぜなら、優遇金利は借入期間の途中で変更する場合があるからです。

2-1優遇金利とは?

優遇金利とは、金融機関によって設定している「金利を優遇(マイナス)しますよ」という金利のことです。たとえば、A銀行とB銀行の店頭金利(金融機関が独自に設定している基準金利が)が、変動金利で2.475%だったとします。

このとき、A銀行は「1.8%優遇」であれば金利は0.675%(2.475%-1.8%)になり、B銀行は「1.7%優遇」であれば0.775%(2.475%-1.7%)になります。このように店頭金利と優遇金利によって、実質金利(実際に適用される金利)が異なります。

2-2優遇金利のルールに注意

優遇金利は「全期間優遇」と「当初期間優遇」の2種類があります。全期間優遇とは借入期間の全期間優遇金利が変わりません。先ほどのA銀行で35年ローンを借り入れたとしたら、35年間ずっと1.8%優遇されるということです。

一方、当初期間優遇は「全期間-1.4%優遇で、当初5年間-1.9%優遇」などの金利です。先ほどの例に当てはめると、当初5年は0.575%と低金利ですが、5年経過時点で1.075%まで金利が上昇します。

全期間優遇と当初期間優遇は上記のような違いがあるため、総返済額のシミュレーションは欠かせません。また、当初期間の説明の際は、金利の説明はするものの、最初の期間しか返済額を説明しない場合もあるので、「毎月の返済額」だけに惑わされないようにしましょう。

住宅ローンを借り換えるときの4つのポイント

買い替えローンを使って上手に不動産売却しよう

3.まとめ

このように、住宅ローンには「元本と利息」の罠と「優遇金利」の罠があります。どちらも月々支払い額に影響する部分であり、場合によっては十万円単位の金額差があります。住宅ローンにはこのような注意点があるので、自分自身でシミュレーションすることが大切です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする