不動産を売却する際にトラブルとならないため、過去の事例などから申告すべきラインをまとめてみました。
瑕疵担保責任が問われやすいラインをみていきましょう。
【継続しているトラブルの瑕疵は?】
Q.売主(個人)の場合、給湯器などの付属品の破損は瑕疵担保責任になる? |
A.中古物件においての瑕疵とは、主要構造部分の腐食、給排水管等の不良、雨漏り、シロアリ被害といったものを一般的に指しています。
この場合は、付帯設備の不具合によるものなので、瑕疵には該当しないと考えるのが自然でしょう。
新築住宅においても、給湯器やガスコンロ等の不具合は製造メーカーの保証期間内であれば保証というのが一般的です。
ただし、給湯器ではなく配管の不具合であった場合は、主要構造分にあたるので、話は変わってきますので注意が必要です。
【以前のトラブルを報告すべき?】
Q.自宅の売却を検討中なのですが、以前火災で全焼し新築を建て直したという経緯があります。売却時にも火災があったことを知らせるべきなのでしょうか?火災の後は更地にし、地鎮祭もし清めており、その後は何もありません。 |
A.不動産を売却する際不利になる恐れのある項目は出来れば話したくない売主様の気持ちもわかります。しかし、基本姿勢としては知っている情報はすべて包み隠さず話、その上で契約をするのが理想です。
事前に話しておけば問題なく済んだものを、後々知ることによってトラブルになることはよくあります。それほど、マイナス要素になりかねないことを伝えるタイミングは重要だということです。売った後にいつかバレるのではと心配するよりも、最初に話した上で納得してもらって売却するほうが、精神衛生上も良いでしょう。
とはいっても、しょせんは理想像。現実的に考えると、売却価格で不利になることも考えられます。伝えなくてはいけないとわかっていても、伝えなくて良いのではと期待してしまうのが売主様の共通心理ではないでしょうか。
告知しなければならないと判断する基準は、「その事実を知っていたら買わなかった」と認められるかどうかです。非常に抽象的で、事件・事故の内容、経過年数、その後の状況など具体的な基準はありません。
火事があったことが物件の瑕疵(欠陥)にあたるかどうかは、火災による人的被害や、火災原因によっても変わります。
そして最終的に告知義務の有無を判断するのは裁判所です。
難しい問題ではありますが、告知したほうが望ましいですが、法的にみると告知しなくても問題はないのかもしれません。
売却を担当する不動産会社の見解などを聞きながら、最終的に判断されることをオススメします。
というのも、どんな場所でも大昔からの歴史があり、さかのぼり始めたらキリがなく、どこにも住めなくなってしまいます。ある程度の時間の経過や、現時点での状況を考慮するべきだと思っています。
もしも人の死や事故があったところは何が何でもイヤだと考えると、交通事故のあった道路や大昔に命を落としたかもしれない土地はどうなるでしょう。歴史がある以上、こうした過去の事例は仕方がないと割切るのも必要でしょう。
また、自分に関係ないことでも騒ぎ立てる野次馬的な近隣がいるのであれば、それも問題でしょう。
火災にあった土地をご近所に言いふらす野次馬的な人がいるか、という点も考えながら話すべきラインを見極めていきましょう。
【買主にはどの程度バレるの?】
Q.投資用物件として事務所を所有しています。名義人は一般人ですが、過去に暴力団関係者に貸していたことがあります。繋がりはかなり薄いのですが、買主の方にバレる可能性はあるのでしょうか。 |
A.暴力団関係者の多い地域には、こういった質問は必ずと言っていいほど挙がってきます。
そもそも、暴力団関係者と繋がりがある時点で売却に不利に働くのはわかっていますし、バレなければいいなという気持ちがトラブルの元になるのですが…
こういった、名義だけ貸していて一見何もないように見える名義貸し物件も、蓋を開けてみれば暴力団関係者とズブズブだったということはあります。そして買主の方にバレる可能性が低いです。
不動産会社が仲介をしてくれるかどうかもわかりませんが…
暴力団関係者との繋がりは、バレる可能性は薄いものの、「心理的瑕疵」に当たります。何らかの形でバレたときに、契約が白紙になってしまうことも考えられます。
心理的瑕疵は告知義務があるので、故意に隠したとなれば圧倒的に売主は不利になってしまいます。そういったリスクからも、告知しておくのが無難でしょう。
【告知義務に関する記事】