不動産会社がリアルに答える「タワーマンションの未来は?」

近年居住のみでなく、相続税対策や投資用としても注目の集まるタワーマンションのこれからの中古の市況と、未来について考えてみます。

◆新築時から値上がりしたマンションとそうでないもの

主に港区、中央区、新宿区、渋谷区、などの都心部のタワーマンションはたった数年で新築時より価格が110%以上増加したものが多々みられます。中には、新築時に購入したお部屋が、2年後にプラス1000万円以上で売れたなんて人も少なくありませんでした。しかしながらこのタワーマンションバブルは全てのタワーマンションに起こったわけではありません。では一体、どの様なマンションは値上がりをしたのでしょうか。

①湾岸部のタワーマンション
・港区港南、芝浦、
・中央区築地、勝どきなど

上記の湾岸部のタワーマンションは内陸部のタワーマンションに比べて価格の上昇幅が大きかった傾向にあります。それはなぜか。答えは非常に単純です。分譲時の価格が安かったからです。これを聞くと、そんなの当たり前じゃないか。とみなさん思われるかもしれませんが、この「分譲時の価格が安い」と言う点は、非常に大事な事です。

ではなぜ安かったのかと言う点ですが、それは湾岸部という立地により、ディベロッパーがより安く土地を仕入れる事が出来たからです。また、この湾岸部のタワーマンションが建設された時期はまだオリンピックの日本開催が決定される前であり、建築費が非常に安かった時期になります。この2点があいまって、湾岸部のタワーマンションは非常に安く建築をする事ができ、今では考えられない様な分譲価格にて販売がされていたのです。

おそらく湾岸部と聞くと、地震の影響が懸念されるかと思いますが、実は平成23年3月11日に起きた東日本大震災というマイナス要因が、価格の上昇に一躍かっていたんです。地震の発生から数ヶ月の間、タワーマンションの需要は一気に落ち、一時期は売却に出しても賃貸の募集をかけてもお客様がつかない状況が続きました。しかしながら、地震の余韻が冷め、ふと人々が冷静に考え始めた時、タワーマンション自体は確かに揺れたが、何か影響があったかというとそうではないということに気がつき始めました。

そしてそこから今度は逆に「タワーマンションの方が地震に対しても安全なのではないか」という考えが徐々に普及してきました。それにより、震災後一時は下落したタワーマンションの価格も、時間とともに再度上昇してきたのです。

こうした要因から右肩上がりではないにしろ、湾岸部のタワーマンションはどんどんと値上がりをしていきました。

②ステータスとなる、シンボリックなマンション
タワーマンションを所有者する理由は様々だと思いますが、その中でも少なくないのがステータスとしての購入になります。

分譲時からの値上がりの要因の1つとしてそのマンションの人気が挙げられます。一口に人気といっても難しいですよね。簡単に言えば、そのマンション近隣の方のみでなく、どのぐらい認知度があるのかという事です。そしてそれは値上がりに対して非常に重要な要因となります。

値上がりしたマンションの多くは、その街の象徴的存在となっています。所有者にとって不動産関係者のみでなく、そのエリアに関わる人にマンション名を言えばわかる。というのは非常に大きなステータスになります。

分譲時ではわかり得なかった、そのマンションの良さや評判、実際に居住している人の感想などが徐々に広まっていきそのマンションの認知度は時間が経つと共に上昇していきます。こうして、そのマンションは人々ともに成長していき、分譲時には無かった需要を取り込んでいくことで値上がりという結果を生み出していきます。

◆築10年を超え迫る大規模修繕の費用

一般的にマンションは築10〜15年を1周期としてとらえます。外壁補修、屋上防水、鉄部の塗り替えなど、主に共用部の工事を行なうことによってマンション全体の価値を保ち、価値の下落を防いでいきます。

もちろん、規模や内容によってまちまちですが一般的なマンションでかかる大規模修繕工事の費用は大体3,000〜5,000万円ほどになります。しかしながら、都内のあるタワーマンションでは大規模修繕費用の見積もりが10億円を超えるとの話も聞いた事があります。

では一体どうしてタワーマンションの大規模修繕工事費用は一般的なマンションに比べて割高になる可能性があるのでしょうか。

①過去の例が少ない
タワーマンションの大規模修繕は実例が極めて少ない為、工事業者も経験やノウハウがまだ完成していません。さらに工事自体の難度も極めて高い為、一般的なマンションよりも割高な工事費用を生んでしまいます。

②工事業者を競わせにくい
マンションの大規模修繕と言っても、いきなり一社に依頼するのではなく、複数社に見積もりを依頼し、金額を競わせるというやり方が一般的です。しかしながらタワーマンションに関してはこれが難しいのが現状です。というのもタワーマンションは非常に複雑な造りかつ工事面積も大きい為、そのマンションの施工業者が情報量、必要な調査内容などに関して圧倒的に有利だからです。その為他の会社で依頼をすると施工業者より手間も、コストもかかってしまいうため、一般的な競争原理が働きづらくなります。その為過去の例では施工業者が大規模修繕を手がけるケースがほとんどとなっております。

上記の様な理由からタワーマンションの大規模修繕には多額の費用が発生します。運営がうまく言っているマンションであれば問題ありませんが、一時金などが発生し急に100万円近い金額を支払わなければならなくなるなどという可能性も今後充分に考えられます。

◆相続税対策の見直しによる節税対策の購入需要は

近年タワーマンションの需要を支えてきた1つの要因として、相続税対策という点が挙げられます。

ではなぜタワーマンションの購入が相続税対策になるのか簡単にご説明致します。

中古マンションを相続する場合には、税務署が定めた評価額でマンションの評価をします。一般的にこの不動産評価は、

①市場価格よりも低い
②タワーマンションの場合、広さで評価を単純に割り出している為、階数による評価の違いはない

という2つの特徴が挙げられます。
では実際に現金で相続した場合と比べてみましょう。

①現金5,000万円を相続する場合
相続財産評価額:5,000万円

②不動産で相続する場合
タワーマンションの低層階
50平米
購入価格:5,000万円(評価額:4,000万円)
相続財産評価額:4,000万円

タワーマンションの高層階
※同じ5,000万円で購入しようとした場合、高層階の方が購入金額は高くなる為、お部屋の面積が減ります。評価額も単純な広さで計算する為同様に減ります。
40平米
購入価格:4,000万円(評価額:3,200万円)
相続財産評価額:3,200万円

現金で5,000万円を相続した場合、と比べて不動産を相続した方が評価額は低い為、相続税も下がるという事からタワーマンションは相続税対策として人気を集めておりました。さらに、中古市場では高値がつくのに、評価額は変わらないという点で高層階の方が節税効果が高いと言われてきました。

しかしながらこの制度にもメスが入りつつあり、現在高層階と低層会の評価が一律であるという点が問題視されております。

今年四月からの法改正により、先ずは高層階と低層会の固定資産税・都市計画税が見直されました。ただまだ評価額に関しては一律の評価をしている為、現状ではそこまで大きな影響はありませんが、今後評価額に関しても見直しがされるのは時間の問題だと思います。

◆最後に

今もなお、高い人気を誇るタワーマンションですが、未来の事を考えると不安材料が多々見受けられます。数年後にあの時売却しておけば良かったと後悔しない様、オリンピック需要も頭打ちとなった今、タワーマンションの未来を考え、本当にこれからも所有し続けるのが正解なのか今一度考えてみるのも良いのではないでしょうか。

【筆者紹介|この記事を書いたのはこんな人】

名前:Hさん(仮)
性別:男性
年齢:20代後半
地域:東京
職業:不動産売買
年数:4年(継続中)
得意分野:都心部(港区、中央区、渋谷区、千代田区、新宿区)の中古マンション仲介

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