不動産売却にはいろいろな法律がかかわってきます。一般の人でも聞いたことのあるようなものから、専門家でなければ分からないようなものまであります。今回はその中から、「事前に知らないと損をする可能性がある法律」について、3つ取り上げていきたいと思います。
1.都市計画法、建築基準法など不動産の価値に関する法律
不動産の売買差益をねらうためにリフォームなどを検討している方は、これらの法律は要注意です。とくに建築基準法では、不動産の最低限の基準がさだめられていて、この基準を満たさない改造は行えないことになっています。
「ここをこうすればもっと高く売れるはず!」と思って購入したら、実は法規制のために目的とするリフォームは行えなかったということも起こりえます。それぞれの法律について、確認してみましょう。
都市計画法
都市計画法は、都市全体の発展や公共の福祉の増進を目的として制定された法律です。この法律によって、市街化区域や市街化調整区域などの区分がなされ、不動産の価値もここで決まることが少なくありません。宅地系の取引であれば、基本は市街化区域として考えれば良いのですが、農地や雑種地などを不動産売却の対象とする場合には、その土地が市街化調整区域なのか非線引き区域なのかで、方針がガラリと変わります。
また、用途地域という制度もあり、不動産は12種類の分類がされています。大きく分けて住居系、商業系、工業系の3種類で、それぞれ細かく見ると7種類、2種類、3種類に分類されます。それぞれの区分は以下の通りです。
これ以外にも都道府県市区町村によっては、個別の区分が設けられていることがあります。
住居系7種:
第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域
商業系2種:
近隣商業地域、商業地域
工業系3種:
準工業地域、工業地域、工業専用地域
建築基準法
都市計画法が土地の区分だとするならば、建築基準法は建物の区分だと考えるとわかりやすいでしょう。都市計画法で定められた用途地域と、建築基準法による建築制限の組み合わせによって、その不動産の属性が決まります。
建築基準法は、建築物の種類や高さの制限、建ぺい率などを制限しています。建ぺい率とは防火対策などの目的から、敷地面積全体のうち、何パーセントまで建物を建ててよいのかを示した数値です。耐火建築物を建てた場合には、防火の目的が満たされるため、建ぺい率が緩和されることもあります。土地付き建物の売買のさいには、現在の入居率(空室率)だけではなく、将来的な拡張性も考えて、土地の建ぺい率や容積率もチェックすることをオススメします。
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2.広告規制に関する法律
「せっかく不動産売買をするんだから、高く売れるように広告を打とう」「空室率が高いけど、広告打てば入るだろうから大丈夫だろう」。でもちょっと待って!不動産の取引には、広告に関する法律もあるんです。広告を打てるのと打てないのでは、購入後の戦略がまったく違ってきますから、ここで規制について確認しておきましょう。
宅地建物取引業法
宅地建物取引業法では、不動産取引のみならず、それにかかわる広告についても制限がなされています。
たとえば第十二条2項では、
“第三条第一項の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営む旨の表示をし、又は宅地建物取引業を営む目的をもつて、広告をしてはならない。”
出典:http://law.e-gov.go.jp/
と規定されていますし、第十三条2項では、
“宅地建物取引業者は、自己の名義をもつて、他人に、宅地建物取引業を営む旨の表示をさせ、又は宅地建物取引業を営む目的をもつてする広告をさせてはならない。”
出典:http://law.e-gov.go.jp/
と定められています。つまり、資格がないと広告を打つことができないのです。優良な不動産取引業者であれば教えてくれるでしょうが、これを知らずに不動産を購入し、結局業者に委託をせざるを得なくなってしまっては、利益も減ってしまいます。
また、宅地建物取引業法では誇大広告も禁止しています。購入者を守るため、購入者に著しい優良誤認をさせてしまうような表示をしてはいけないと決められています。ほかにも広告の開始時期や、貸借の広告に関する決まりもあります。不動産売却に関して、あなた自身が何かしらの宣伝を行うことを前提としているならば、これらの法律は要チェックです。
3.売却後の確定申告にかかわる法律
不動産投資に限りませんが、利益が出た場合には所得税法にのっとり、確定申告をする必要があります。とくに不動産のような高額の取引であれば、確定申告をするメリットが大きいため、必ず行うべきだとされています。確定申告の期間は、毎年2月15日~3月15日前後なので、忘れず行いましょう。ここでは確定申告のメリットをまとめました。
買い換えの特例を受けられる
とても手間のかかる確定申告ですが、確定申告することによって不動産の買い換え特例を受けることができます。一度購入したら満足!というのではなく、継続して不動産投資を考えているならば、このメリットを生かすべきです。
黒字でも赤字でも恩恵がある
不動産の売却によって利益が生じた場合には、譲渡所得とみなされるため、確定申告をする義務があります。譲渡所得に関しては、国税庁のホームページに法令解釈の専用ページがあるため、お時間のある時にご参照ください。
外部リンク:国税庁HP
不動産の購入や修繕費などの経費が大きかったり、不動産売却によって損失が生じることもあります。この場合には、確定申告の義務はありませんが、他所得との損益通算などにより、節税効果が見込めることも。黒字であっても赤字であっても、不動産売却をしたなら、確定申告しない手はありません。
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まとめ
以上、不動産関連の法律でとくに知っておいた方が良いものをピックアップしました。
これ以外にも多数の法律が不動産売却には関係していて、いちから勉強するとなると学習時間がすごいことになってしまいます。
ここで取り上げた観点だけは頭に入れておいて、他に気になることがあれば、お近くの不動産鑑定士や弁護士、司法書士、あるいは不動産業者などに確認するのがベストですね。