不動産売却の価格別にかかる仲介手数料の簡単な計算方法&注意点2点

不動産を売却するときには、売却に伴い色々な諸費用がかかってきます。たとえば、登記に関連する費用だったり、引越しに関連する費用だったり、合計額が100万円以上になることも多いです。今回は、そんな諸費用の中でも最も高額な「仲介手数料」について解説します。

1.売却価格別の仲介手数料からみる

まず、結論からいうと、売却価格別に仲介手数料を算出する簡易式は以下の通りです。

・売却価格200万円以下の場合「売却価格×5%

・売却価格200万円超~400万円の場合「売却価格×4%+2万円

・売却価格400万円超の場合「売却価格×3%+6万円

多くの人は、仲介手数料と言えば「3%+6万円」のイメージが強いと思います。その理由は、不動産を取引するときは、大抵の場合「400万円超以上の金額」になるからです。また、上記の金額は全て税抜きであり、算出した金額には消費税がかかります。

売却価格が2,500万円(税抜き)の一戸建てを売却したと仮定して例を挙げます。この場合の仲介手数料は「(2,500万円×3%+6万円」×消費税1.08=874,800円」となります。このように、消費税は必ず加味するようにしましょう。

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2.正式な仲介手数料とは?

前項での計算式は、あくまで「簡易式」になります。実は、あまり知られていませんが、正式な仲介手数料の計算式は以下のようになるのです。

・売却価格200万円以下の部分「売却価格×5%

・売却価格200万円超~400万円の部分「売却価格×4%

・売却価格400万円超の部分「売却価格×3%

2-1計算式の違う簡易式

前項の計算式との違いは、金額が「部分」となっている点と、それぞれ「+2万円」「+6万円」の表記がなくパーセンテージだけになっている点です。つまり、2,500万円の物件の仲介手数料は、実は上記3つの階層に分かれており、それを総じて計算すると「売却価格×3%+6万円」の簡易式になるのです。

2-2正式な計算

仮に先ほどの2,500万円の一戸建てを売却するとき、どのような計算になるのかを正式に表記してみます。2,500万円の部分を以下のように細分化してみましょう。

・売却価格200万円以下の部分(1)

・売却価格200万円超~400万円以下の部分(2)

・売却価格400万円超の部分(3)

(1)の部分は「200万円×2%=4万円」になるので、仲介手数料は4万円です。なぜ2%となるかというと、「400万円超の3%-200万円以下の5%=2%」だからです。

そして(2)の部分は「200万円×1%=2万円」になるので、仲介手数料は2万円です。これも先ほど同様、「400万円超の3%-200万円超の4%=1%」だからです。

つまり、(1)と(2)の部分を計算すると、4万円+2万円で6万円になるのです。そのため、(1)(2)より大きい(3)を計算するときには、既定の3%という数字に6万円を足した金額になるというワケです。

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3.仲介手数料の注意点

このように、仲介手数料の仕組みは上記の通りです。このとき注意しなくてはいけないことは、上記の計算式で算出した費用は、不動産会社が売主・買主に請求して良い費用の「上限」になるという点です。つまり、この金額「以下」であればいくらでも良いというワケです。

3-1ほとんどの不動産会社が上限で請求する

売主と不動産会社は、自分の不動産の売却を依頼するという内容の「媒介契約書」を締結します。その媒介契約書に仲介手数料の金額(利率)を記載することで、その物件の売買にかかる手数料額が決定されるのです。

この仲介手数料は、多くの不動産会社では上記計算式の「上限」で請求します。世の中的にもそれが当たり前になっていますが、それは「上限」で請求されているという意識は持っておいた方が良いです。つまり、決して「決まり」ではなく、もっと仲介手数料が下がる要素もあるということです。

3-2手数料を下げることがデメリットに

ただし、仲介手数料を下げるという行為は、自分の物件の売却にとってマイナスになることもあります。なぜなら、不動産会社はその手数料収入から、物件を売却するための広告費や人件費を支払っているからです。つまり、仲介手数料を値引くと、その分広告費がなくなったり担当者が手薄になったりするということです。

具体的には、チラシやネット掲載などの広告を出来るだけ削ります。これは、不動産会社にとって「収入」である仲介手数料が、いつもより減額されているので無理もありません。また、担当者が「手薄」というのは、たとえば1人の営業マンがたくさんの物件を担当するということです。

仲介手数料という収益が下がっているので、人件費を削るためには1人の担当が物件「数」をさばく必要があるというワケです。

いずれにしろ、不動産会社を選ぶ基準としては仲介手数料「金額」も大事ですが、「営業マンの質」や「不動産会社の信用性」の方が大事ということです。

3-3仲介手数料の値引きはできないの?

基本的に、上限の仲介手数料を請求するケースが多いです。これ自体は適切な範囲内の請求額なので問題はなく法律違反にもなりません。そのため拒否することは出来ません。なんとかして仲介手数料の値引きをしたいと思うかもしれませんが、仲介手数料は不動産会社が行った営業利益であり成果報酬となるため実際に多くの手間賃がかかっています。
値引き交渉の余地はありますが、ほとんどの場合応じてくれないと思っておきましょう。

値引きを受け入れているケースは、大都市のような競争相手が多く差別化を図りたい不動産会社や、薄利多売でがんばっている不動産会社などです。
高くかかってしまう紙媒体の広告を出さずにインターネット上の営業という条件付きで値引きをしているケースもあります。

いずれにしても、不動産会社にメリットがある場合のほうが熱心に仕事をしてくれることには変わりはありません。値引きした際のデメリットは心得ておくようにしましょう。

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4.手数料の低い不動産会社

また最近は、元々仲介手数料の低い不動産会社もあります。大手不動産会社なども手数料率を下げているところもありますが、地元の会社で手数料率を下げている会社が多いです。理由は、「大手企業へ対抗するため」と「地元の物件の売却が強いから」です。

地元の不動産会社は、広告などの順位ではどうしても大手企業には負けてしまいます。そのため、地元に特化した上で、何か自分の会社に仲介を任せる「特典」が必要になるのです。その特典として、最も分かりやすい特典が「仲介手数料率の割引」になります。

地元の会社であれば地元のことを良く知っているので、物件を売りやすいというメリットがあるので、このような会社は依頼するのは売主としても良い選択と言えます。ただし、手数料が低いということは、前項のようなデメリットもあるので、その点は注意しましょう。

5.まとめ

不動産を売買するときの仲介手数料は、上述したとおり「3段階」に分かれています。そのため、いつも皆さんが目にしているのは「簡易式」です。また、その簡易式で算出された金額は、あくまで不動産会社が請求して良いという「上限金額」になります。
良く間違える方が多いですが、上限金額である以上、その金額を支払うのは「義務」ではありません。ただし、手数料額を下げると売主にとってもデメリットがあるので、無理に値引き行為はおススメできません。

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