不動産は捨てられるの?いらない負動産を捨てる3つの方法

かつて、日本では不動産は「不動の資産」でした。どんな不動産でも必ず値上がりし、投資案件として扱われていたのです。しかし、近年そういった不動産神話は全く聞かなくなりました。それどころか、不動産は負債を抱えるものとして「負動産」と呼ばれるようになったのです。不動産を所有していると、固定資産税が必ずかかります。マンションであれば月々の管理費や修繕積立金が必要で、それだけの維持費をかける価値のある不動産でないと割に合わないのです。

そこで、今回はなぜ「負動産」と呼ばれるようになったか?そして、いらない不動産を捨てる方法をご紹介します。

◆なぜ負動産だといわれているの?本当に価値が下がるの?

もちろん、不動産すべてに価値がないわけではありません。利益を上げている不動産であれば所有していた方が良いでしょう。
その不動産が、利益を出しているか、損してるかは、持ち主であるあなたが最もわかっているはずです。しかし、近年利益を生まず価値もない不動産の割合が増えてきたことから、「負動産」という俗語が出来るまでになってしまいました。

また、価値が下がるといわれている原因はいくつかありますが、その一部としていわれているのは日本の地価が暴落するというものです。2020年の東京オリンピックを終えると、日本の不動産を買い占めていた海外の投資家が一斉に売り払うことで、不動産の地価に大きな影響を与えるとされています。

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また、不動産バブル以前の問題として根強いのが「空き家問題」です。地方だけではなく東京にも及んでいるというから驚きですが、それほど深刻だということです。

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つまり、不動産バブルが弾けなかったとしても、空き家が溢れかえっている以上、不動産の価値が下がっていくのは目に見えています。また日本の人口はどんどん減少していてので母数は下がる一方です。それに加え新築物件はどんどん建設されますから、古くボロい物件が余っていくのは当然のことでしょう。

では、「タダでもいらない」という不動産は、捨てられるのでしょうか?不動産の捨て方について、次の事項で詳しく紹介していきます。

◆不動産は捨てられる?捨てる方法3つ

不動産は、そう簡単に捨てることができません。なぜなら、「名義」があり所有者が決まっているためです。とにかくいらない不動産でも、身勝手に捨てることができないのです。

ですので、「ババ抜き物件」といった問題が出てくるのです。ババ抜き物件とは、トランプのババのように不用品とみなされた不動産を次の所有者に押し付けることです。「誰もいらない不動産は誰も買わないじゃないか」って?そうです。だから、押し付けるために必死になるんです。その物件が、例えばマンション1部屋50万円だったらどうでしょう?50万円だったら安いなと思うでしょう?しかし、その部屋にはカラクリがあって、持っているだけでお金がかかるのです。固定資産税・マンションの管理費や修繕費などの固定費が一生かかり続けます。持っているだけで損をする負動産を誰かになすりつけるために売るので、「ババ抜き」と言われています。

不動産の価値が粗大ゴミ同然であったとしても、粗大ゴミとして捨てることができません。廃車とはまた違う扱いなのです。名義を変えるのが基本的な手放し方です。

その他に、いらない負動産を手放す方法は3つあります。

1.タダ同然の価格で売却

2.自治体へ寄付する

3.相続を放棄する

詳細をみていきましょう。

筆者は、「無料査定サービス」で査定額を調べてみて実際に売ってみて、それでも売れなければ「空き家バンク」を利用する流れがオススメです。

1.タダ同然の価格で売却

具体的な方法としては、

・無料査定サービスを使って売却
・空き家バンクを利用する
・ご近所さんに売却
・ご近所さんや親族へ無償譲渡

ありますが、やはり現実的なのは「無料査定サービスを使って売却する」、「空き家バンクを利用する」の2択ですね。それぞれみていきましょう。

1-1 無料査定サービスを使って売却する

「タダでもいらない」といわれる負動産ですが、やはり処分する方法として売却するのが一番良いです。本当に売れないような不動産の場合、利益を得ることは考えず、不動産会社に引き取ってもらうなどの手段が良いでしょう。これも一つの捨て方です。粗大ゴミを不法投棄するなどといった捨て方がないからこそ、きっちり手放す手順を踏まなければなりません。

この場合「買取」を選択すると業者は買取後に儲けがでるようにしたり、建造物を建てて横流しにしたりするので、売値が相場より安くつくことが多いです。

一方、買取業者と比較すると、土地売買の仲介を行ってくれる「仲介業者」という選択もあります。一般的に「不動産仲介会社」といわれていますが、直に土地を活用するバイヤーを見つけ出してくれるので、難易度の高い売れにくい土地でも取引ができることがあります。もし、いま不動産会社に売却を依頼していない状態であれば、買取業者ではなく仲介してくれる不動産会社にお願いしてみてください。

何が何でも売却したい・処分したい土地は土地売買を専門にしている業者に依頼するのが一番です。
完全無料で一括査定を行える「不動産一括査定サービス」を利用しましょう。
複数の専門会社に一括で査定を受けることが出来ます売りたい土地の情報を打ち込むだけで、大手から地域密着型の中小の不動産会社まで一括で査定をしてくれます。得られることは、おおよその査定額だけではなく、親身になってくれる不動産会社を効率良く探してくれます。

1-2 空き家バンクを利用する

各自治体には「空き家バンク」という制度が設けられています。

空き家バンクは、各自治体の空き地を買ってほしい・貸したいと思っている持ち主の方と、空き家をリサーチしている日本全国の人をマッチングされるサービスです。

空き家バンクはエントリー制で、各自治体が提携している会社と仲介契約を結ぶことによってエントリーができる仕組みです。
ただし、エントリーしたからといってバイヤーがすぐに見つかるわけではありません。エントリー自体は無料なので、希望する場合はエントリーをしておいても良いかもしれません。

より詳細を知りたい方は「自治体名 空き家バンク」で検索してみてください。

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2.自治体へ寄付する

もちろん、お金にはなりません。自治体に寄付することは、その不動産の使い道の可能性を広げることでもあります。公共の施設にしたり、新規で道路開通を行っていたり、個人で持っているより利用方法は広がるでしょう。捨てたい名義人と活用する土地をもらえる自治体、どちらもWin-Winです。

しかし、あまりにも使い道のない土地であると受け取って貰えないこともあります。自治体に寄付するにしても、市町村税として固定資産税を払わなければなりません。また、その土地を管理する維持費や手間もかかります。その寄付を受け入れることによってかかる手間やコストは自治体にとって大きなマイナスです。

3.相続を放棄する

いらない不動産を所有して困っている人は、「相続した結果」という方も多いです。相続すると、売れない家や処分に困る土地なども付いてきてしまって、どうしようもない状態になってしまうのです。

であれば、そもそも相続をしない「相続放棄」し負動産を背負わされないようにしましょう。

【相続放棄の注意点と生前贈与の活用】

これはいわば最後の手段です。相続放棄をすることによって、不動産を処分することが出来ます。相続放棄するということは、親族が亡くなって遺産があったとしても、一切相続しないと宣言することです。

注意点としては、一度相続をしてしまうと、後になって「やっぱりいらない」が出来ません。一度相続すると、相続放棄は使えません。また、相続放棄をすると、不動産以外の遺産も相続出来なくなります。相続したい遺産で現金や宝石、証券などがあったとしても、不動産だけを拒否することは出来ません。相続放棄とは、すべての権利を拒否します。ですので、相続放棄をする際はこの点に注意しましょう。

また、現金などの相続したい財産がある場合は、あらかじめ「生前贈与」を利用するなどして所有者を移動させておく必要があります。その際に、税理士に相談することになると思いますが、生前贈与・相続に関する税の専門家は少数派であることが多いので、プロの中でも専門分野が一致する人に依頼するなどしましょう。

【相続人全員が相続放棄した場合】

ちなみに、法廷相続人である人たち全員が相続放棄をし、不動産の相続人がいなくなった場合、固定資産税の支払い義務はなくなるのですが、土地の管理責任は放棄が出来ないことになっています。

本来、所有者のいない不動産は国庫に帰属されます。しかし、不動産の所有者の名義が国名義になるわけではありません。名義は依然として被相続人です。
相続放棄によって固定資産税の支払い義務はなくなりますが、相続財産の管理責任は免れません。

民法第940条
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

つまり誰かがその不動産の管理を行う時点まで、相続放棄をした相続人が管理をしなければなりません。「しなければならない」=義務なんです。
管理責任のある相続人が管理を怠ると、損害賠償責任や刑事責任を問われる可能性があります。管理とは、例えば老朽化している建物が倒壊しないよう補強工事などを行うなどです。管理にかかる支払い義務が生じ、それを怠ると責任はすべて相続人にきます。

そして、新たに管理人を選任する際は家庭裁判所に「相続財産管理人の選任申し立て」を行わなくてはなりません。(その際に予納金が必要で、相場は大体30~100万円ほど)その決定がなされるまで、相続人が不動産の管理責任者になります。

つまり、「相続放棄の申し立て」と「相続財産管理人の選任の申し立て」の二つをやって、そこでようやくいらない不動産を手放すことができます。

まとめると、相続放棄によって不動産の名義を拒否することは出来ますが、相続財産の管理責任を免れるためには、「相続放棄の申し立て」と「相続財産管理人の選任の申し立て」の二つをやり遂げなければなりません。

ただし、結局その不動産自体に価値がなく、固定資産税の負担など高コストになる相続財産管理人の選任は見送られるケースが多いのも現状です。

◆まずは不動産の価値を知ろう

ここまで来て、所有している不動産の価値を知らない人は少ないと思いますが、念のため不動産を無料で査定してくれる方法を紹介しておきます。

不動産の一括査定サイトなどを利用することによって、査定額を知ることが出来ます。査定額は不動産会社によって異なります。また、売却する場合は仲介業者を慎重に選びましょう。
査定を行うことで、所有している不動産が「本当にタダでもいらない不動産なのか」が明白になります。

「みんないらない」
「タダでも売れない」
「誰も使わない」

の3重苦の物件であれば、上記の「寄付」「相続放棄」などを検討しましょう。


◆ちなみに…「所有権の放棄は出来るの?」

上記の方法以外にも、「不動産の所有権放棄の登記をすれば良いのでは…?」と思う方もいるかもしれません。

そこまで考えている方はかなりお調べになったのでしょう。

この疑問を生み出したのは、おそらくかなり突っ込んだ法律のためではないかと思われます。
「所有権のない不動産」についての記述は下記のように載っているのです。

(無主物の帰属) 民法第239条
所有者のない不動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。
2  所有者のない不動産は、国庫に帰属する。

しかし、そんな登記をやったことがある人は聞いたことがありません!そして実際にそういった登記方法はないのです。

そういった選択肢があると思っていたのなら、ハッキリ答えを言います。所有権を放棄する方法はありません。

◆豆知識:共有持分の放棄は可能

ちなみに、所有権ではなく不動産の共有持分の放棄は可能です。放棄された持分権は他の共有者に帰属されます。

やり方はとても簡単で、相手方に「持分放棄」の意思表示をするだけ。これだけで不動産共有持分の放棄は成立します。念のため、内容証明郵便を行うと、今後の手続きがスムーズになるのでオススメです。

とはいえ、実体法上の権利が移転したとしても、手続法上は勝手に名義が変わるわけではありません。相手方が登記に協力してくれなければ、登記引取請求権に基づいて裁判で勝訴判決を得なくてはなりません。

◇非常にズルイやり方はある

例えば兄弟などで不動産を共同相続するケースにおいて、法律上の持分通りに登記することは、相続人の一人から申請可能です。

そのいらない不動産を相続したくない場合は、ご兄弟の住民票を入手しさえすれば、勝手に相続登記が可能です。そしてその登記が完了し次第すぐに持分放棄を行えば、自分だけはいらない不動産と縁を切ることができます。

これはあまりも酷いやり方なので、問題解決方法としては悪化してしまう可能性がありオススメはしません。皮肉にも、一つのテクニックとして成り立ってしまうので、ご判断はお任せします。実行する場合は相応の覚悟が必要ですのでご注意ください。

◆まとめ|いらない不動産を持っている人は3つの方法をトライ

いかがでしたか?

まずは査定を行い、本当に価値のない不動産か確かめた上で、

1.タダ同然の価格で売却

2.自治体へ寄付する

3.相続を放棄する

の3つの方法を検討してみてください。

また、「相続の放棄」は注意点が多いので、もう一度確認を行ってくださいね。

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