不動産を売却する際、これまで普通に見えていたものが違うように見えてきます。
良い例がエアコンです。取り付けてあったエアコンはそのままで良いのか?それとも外してから引き渡した方が良いのか?
今回は、家という大きな売り物に付属するものはどうすればよいのか、紹介していきます。
エアコンだけでなく、照明器具・ウォシュレット・洗濯機等どこからが売り物で、どこからがなくしたほうが良いか、基準を知っておきましょう。
◆不動産の定義は「土地・構築物」のみ
結論からいってしまうと、「不動産」を指すは土地・構築物のみなので、付属品は含まれません。
不動産の売却において、エアコンなどの付属品は基本的に付かないとお考えください。それがマンションであれば、マンションの自分名義の土地と建物の専用部分が「不動産」にあたります。マンションの場合の不動産の定義は少し複雑ですが、集会所や駐車場などの共用部分を所有していればそこも売却にあたって引き渡すこととなります。
不動産は読んで字のごとく「動かせない資産」のことです。家の中にあるソファーやエアコン・テレビ・洗濯機等はすべて動かせるので、不動産には含まれていません。
これらの「動産」は造作物として扱われます。造作物は後から加えることや取り外しが可能です。
不動産の売却において迷いがちなエアコンなどの付属品は、他の家具家電と同じように売却対象にはなりません。もし、これらを付けた状態で売却するとなると、「無償譲渡(プレゼント)」としての扱いになります。そして、不動産とは全く別の資産となるというわけです。
これと同じように、賃貸物件などの場合でエアコンが備え付けられているときは、エアコンの所有権は大家さん側にあります。昔の賃貸物件は、エアコンは借りる側がつけることが常識でした。そのため、エアコンは貸借人の所有物で、退去時にはエアコンを外していくのが普通でした。それをイメージして、エアコンなどの付属物は誰が所有しているかを考えましょう。
「不動産」の定義と「動産」の違いがわかったところで、本題に移りたいと思います。
不動産を売却する際、「動産」であるエアコンや家具家電などの付属物は、どこまで置いて行って良いものなのでしょうか?おいていきたい場合の注意点もチェックしてみましょう。
◆エアコン等の付属品を置いていくかの判断基準
結論からいうと、売却する家においていく付属品を決定するのは売主と買主次第です。双方の話し合いのもと決定することがほとんどでしょう。
売主側は荷物になる・引っ越し先に不要といった理由で家に置いていきたいケースがありますが、そういった都合は買主側にもあります。
処分するのにお金がかかる自治体もあるため、面倒なので置いていきたいというケースも多いのです。これらはそれぞれが話し合って決める必要があります。
◆エアコン等の付属品を残すときの注意点
話合いの結果、エアコン等の付属品を残すことが決定したときは注意点があります。
◇設備表を作成する
まずは、その旨を不動産会社に報告して、設備表を作成してもらいます。
その設備表には、エアコンの他にも、照明器具・TVインターフォン・カーテン・BS等の衛星アンテナ・家具家電・増築した食器棚やシューズボックスなども記載対象となります。
一戸建ての場合は、これらに加えて庭木や庭石、門、物干し竿、カーポートなど敷地内のことも記載しなければなりません。
そして、その中のものを残すか残さないかを決めましょう。もし残す場合には、動作確認を行いあらかじめ記載しておきます。動作不良のものに関しては、設備表に明確に記載しておきます。確かめずに動くと思っていたものが動かないと後にトラブルになりかねません。
また、残す上で設備表に記載するものに関しては、状態も含め買主の了解を得て引き渡すようにしてください。あとからトラブルとならないよう「あくまでも付属品です」という明確な意思疎通が肝心です。
◇設備表に記載されることが多い付属品
エアコンが代表的ですが、家には様々な設備や付属品がありますよね。
個人で使っていていらなくなったものなどを含めると無限にあるでしょう。
付属品として設備表に記載するべきものをまとめてみました。
あなたの家にあって、残そうか迷っている場合などはそのあとの『注意点』もしっかり読んでおいてくださいね。
【動産でよくある付属品】
・エアコン
・照明器具
・TVインターフォン
・郵便ポスト
・カーテン
・BS等の衛星アンテナ
・家具家電
・増築した食器棚やシューズボックス
・備え付けた食洗器
・防犯セキュリティカメラ
・床暖房
(一戸建ての場合)
・庭木
・庭石
・門
・銅像
・物干し竿
・カーポート
など
◇契約書への記載【注意】
上記で説明したように、絵アイコンなどの付属品を残す場合、「後で壊れる可能性がある」という前提のもと承諾を得て契約をしている旨を明確にしなければなりません。
中古品はいつ壊れてしまってもおかしくないので、トラブルにならないことが大切です。
そのためには契約書の中に必ず設備の引き渡しに関する条文を入れなくてはなりません。
売買契約書には必ず設備表(別紙)を添付しましょう。
その上で売買契約書には下記のような記載が入ります。
(付帯設備の引渡し)
第○○条 売主は、別添「付帯設備表(表1・表2)」のうち「有」ろ記したものを、本物件引き渡しと同時に買い主に引き渡す。
2.売主は、前項の付帯設備については、瑕疵担保責任を負わないものとする。
ちなみに、個人で中古マンションを売却する場合は、瑕疵担保について売主・買主合意のもとで瑕疵担保責任を全部または一部免責することができます。(この場合の免責は、売主が責任を負わない)
『瑕疵担保責任』について記載を契約書から抜粋すると、
(瑕疵担保責任)
第○○条
1.買主は、売主が標記(●)において瑕疵担保責任を負担する場合は、本物件に隠れた瑕疵があり、この契約を締結した目的が達せられない場合は契約の解除を、その他の場合は損害賠償の請求を、売主に対してすることができる。
2.契約の解除をした場合においても、買主に損害がある場合には、買主は売主に対し、損害賠償請求をすることができる。
3.建物については、付帯設備を除き買主は、売主に対して本条第1項の損害賠償に代え又はこれとともに修補の請求をすることができる。
4.本条による解除又は請求は、本物件の引き渡し後標記(●)の期間を経過したときはできないものとする。
このように、売主は非常に立場が弱いです。売買契約において、一般の人では発見できないような瑕疵(欠陥)が見つかった場合、引き渡し側が権利者に責任を負わなくてはなりません。
ですので、プラスの設備に関してはあくまでおまけで、「壊れていても責任は取りませんよ」という免責事項が大切になるのです。設備は中古なのでより壊れやすく、瑕疵担保責任の免責を明文化しておきましょう。
◆まとめ│残す場合は免責に
不動産の売却において、エアコンなどの付属品についてどうするべきか紹介しました。
基本的に、売却の際に残すものは売主と買主で相談し、残す場合は壊れやすいものだと承諾を得た上でおいていく形となります。
故障したときや動作不良による場合も、売主に責任が生じないよう売買契約書や設備表で明文化しておきましょう。