日本の不動産市場は世界的にみるとどう?

日本の不動産市場は「世界的に見るとどう見えるか?」を考えたことがあるでしょうか。

結論から言うと、日本の不動産市場は非常に閉鎖的で、消費者にとって安心できる市場とは言い難いです。最近は法改正などを経て、透明性を高めようとしていますが、まだまだ昔からの慣習は抜けていません。

今回は、そんな日本の不動産市場は世界と比較してどうなのか?というお話です。これから不動産取引を始める人は、ぜひ参考にしてみてください。

1.日本は情報が閉鎖されている

日本の不動産市場は未だに閉鎖的です。レインズの誕生により、昔に比べると開放的な市場になりましたが、世界的にはまだまだ閉鎖的な市場といえます。

1-1レインズとは?

レインズとは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピュータ・ネットワーク・システムの名称です。レインズへアクセスできるのは不動産業者に限られ、レインズにアクセスすると「過去の成約事例」や「現在の売り出し事例」を閲覧することができます。

一般人も、SUUMOやHOME’Sなどの不動産ポータルサイトで物件情報を見ることはできますが、掲載にはお金がかかるので全ての物件が掲載されているワケではありません。一方、レインズはほぼ全ての売り物件を見ることができるので、一般人がレインズへアクセスできれば市場の透明性は増します。

1-2情報を閉鎖する弊害

情報が閉鎖的になっている弊害は、「囲い込み」や「売り止め」といった売主に不利益となることを不動産業者ができてしまうことです。囲い込みとは、自社で売主・買主を成約したいという利己的な思いだけで、売り物件の情報を他社へ流さないようにする行為です。

また、売り止めとはレインズのステータスを「売り止め」に変えることによって、他社から購入検討者を紹介させなくするという行為です。囲い込みと売り止めをすれば、自社でしか買主を見つけてこれないので、売主だけでなく買主からも仲介手数料をもらえます。

この取引方法を「両手取引」と言いますが、利益が2倍になる両手取引をするためだけに囲い込みと売り止めをする悪質な不動産業者もいます。しかし、レインズを一般人も閲覧できれば、このような行為をする機会が減るので、消費者によって良い市場となるのです。

1-3アメリカは全てを開放

一方、アメリカではこのような不動産情報は一般人にも全て開放されています。全米で管理している日本のレインズのようなシステムがあり、そのシステムへは不動産業者でなくてもアクセス可能です。そのため、世界的に見ると日本の市場は閉鎖的といえるのです。

2.日本は基本両手取引を狙う

日本の不動産業者は、基本的には両手取引を狙います。理由は、先ほどいったように利益が2倍になるからです。しかし、アメリカでは両手取引という概念は存在しません。なぜなら、売主と買主にはそれぞれ別の不動産会社(アメリカでは「エージェント」といいます)がいるからです。

そのため、1社が買主と売主の間に立って交渉することはなく、売主にはA社、買主にはB社のエージェントが担当します。両手取引が存在しないということは、先ほどいった「囲い込み」と「売り止め」といった悪質な行為はなくなります。

この行為をすることによって集客が減るので、そもそも片手取引しかできない市場であれば、この行為をする意味がないからです。そのため、取引の透明性という観点からも、日本の不動産市場は遅れをとっています。

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3.ホームインスペクションの普及

不動産を売買するときには、ホームインスペクションという「建物調査」を行うことがあります。日本でも宅建業法が改正され、「仲介する不動産業者はホームインスペクション業者を斡旋できるかどうか、売主・買主に明示しなければいけない」とされています。

これにより、不動産を売買する買主・売主がホームインスペクションの存在を知ることができるというワケです。ただし、ホームインスペクションを行わなければいけないという強制力はありませんし、売主が拒否すればホームインスペクションを断ることもできます。

しかし、アメリカや欧米ではホームインスペクションは普通のことであり、一般的にはホームインスペクションを行った後に売買取引をします。義務かどうかは国によって異なりますが、建物調査をしているという安心感を得てから取引することが多いです。

日本でホームインスペクションの義務がないというのは、一方で「建物の品質の関しての信頼度が高い」ともいえます。しかし、最近では大手不動産会社が施工している建物でも「杭が足りない」などの問題が起こります。そのため、建物の品質に関しては、第三者のチェックがあることは望ましいことです。

4.まとめ

このように、日本の不動産市場は、もっと透明性が高く安心して取引ができるようになる余地はあります。最近では片手取引しかしない不動産業者が台頭するなど、さらに変化しています。ただ、まだまだ透明性が高いとは言いがいたので、自分自身でも情報を得て悪質な不動産業者に騙されないようにしましょう。

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