マンションを売却するときに各種保険の取り扱いはどうなる?

マンションを売却するときに意外と忘れがちなのが「保険」についてです。保険とは、具体的には「火災保険」「団体信用生命保険」「健康保険」の3点になります。この中には、マンション売却によって保険料が上がる可能性がある保険も含まれているので、マンション売却前に仕組みを理解しておきましょう。

1.火災保険について

マンションを、住宅ローンを組んで購入すると火災保険は必須加入になります。現金で購入している人には火災保険加入義務はありませんが、万が一火災が起こったときの損失が大きいので、大抵の人は火災保険に加入します。

火災保険は「10年」などの長期間で加入することが多く、仮に10年で火災保険に加入している場合には10年分の保険料を一括で先払いします。そのため、マンションを売却して残存期間があれば、残存期間分の過払い保険料は加入者に返還されるという仕組みです。

ただ、注意点としては、火災保険の解約手続きに関しては自分から行う必要があるという点です。保険会社はマンションを売却したことを知ることは出来ないので、放っておけばマンションを売却した後も保険料を支払い続けることになります。

そうなると、当然返還されるはずの保険料も返還されないので、マンション売却が決まったら早めに保険会社に連絡しておきましょう。火災保険の解約手続きは、書類のやりとりなどが発生して手間がかかる点もあわせて覚えておきましょう。

2.団体信用生命保険について

住宅ローンを組むときには、団体信用生命保険(団信)への加入が住宅ローンの承諾条件になります。マンションを売却したときには、民間銀行の住宅ローンと住宅支援機構のローンとで異なります。

2-1民間銀行の住宅ローン

結論から言うと、民間銀行の住宅ローンの場合には、マンションを売却したとしても団信は加入から外れるだけです。返戻金もありませんし、追加で何かを支払うということもありません。

なぜなら、団信の保険料は既に金利に組み込まれている前提であり、借入者が負担をしているワケではないからです。仮に、「三大疾病付」などの特約を組み込んでいたら「0.3%金利増」などになりますが、その支払いも毎月の住宅ローン支払いに上乗せされていただけなので、支払いがなくなるだけになります。

2-2住宅支援機構のフラット35

しかし、住宅支援機構が提供するフラット35の団信は例外です。フラット35は民間金融機関とは異なり、別途年払いで団信に加入します。加入は必須条件ではないので、加入しないという選択も可能です。

仮に、年払いをした後にマンションを売り、保険の残存期間が半年ある場合には、半年分の保険料は返還されるという仕組みになっています。マンションを売却して繰り上げ返済する際に、住宅支援機構の窓口に確認してみましょう。

3.健康保険について

健康保険料は前年の所得によって決まります。ただ、健康保険に関しては、会社員と自営業者・年金受給者によって基準が異なりますので、その点は注意する必要があります。

3-1会社員の場合

結論から言うと、会社員の健康保険はマンションを売却しても影響はありません。会社員は健康保険料などの社会保険料は会社が源泉徴収しているからです。

毎月源泉徴収している額は、「標準報酬月額表」も基づいて決まっており、「標準報酬月額表」は今までの報酬額(給与)によって決まる額になります。そのため、会社員の場合にはマンションの売却と健康保険は無関係になります。

3-2自営業・年金受給者の場合

ただし、自営業者や年金受給者は会社員とは異なる「国民健康保険」に加入しています。国民健康保険は前年の「所得」によって決まりますので、マンションの売却「益」があれば所得が上がり、結果的に支払う健康保険料も上がります。

あくまで「前年の所得」によって保険料が決まりますので、次年からはマンションの売却益は加味されません。しかし、マンション売却の翌年は健康保険料が上がる可能性がある点は認識しておきましょう。

また、注意点としては「3,000万円の特別控除」を利用したときも、健康保険料は上がるという点です。3,000万円の特別控除とは、「マンション(不動産)を売却して得た利益が3,000万円であれば、利益(所得)を控除して非課税にします」という税制優遇です。(⇒不動産売却にかかる「税金」を徹底解剖

さまざまな条件がありますが、通常の入居用マンションの売買であればこの特例は利用できるので、マンションを売却したときに「譲渡所得税」が発生するケースは少ないです。しかし、税金が非課税になっても健康保険料を算出する際の「所得」にはカウントされますので、健康保険料は上がるというワケです。

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4.まとめ

このように、マンションを売却するときの保険に関しては、以下の点に注意しておきましょう。

・火災保険料は返還されるが自ら手続きが必要

・団信は基本的には返還されることはないがフラット35だけは例外

・健康保険料は自営業者・年金受給者は上がる可能性があるので要注意

特に注意するべき点は、自営業者や年金受給者の健康保険料になります。仮に、1,000万円の利益が上がったら、収入(所得)が1,000万円上がったという前提で保険料が計算されるので覚えておきましょう。

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