物件を購入するときには「競売物件」という種類の物件があります。競売物件と一般に流通している物件は大きな違いがあり、結論から言うと初心者が競売物件に手を出すのは非常に危険です。今回は、そんな競売物件について詳しく解説します。
1.競売物件と一般に流通している物件の違い
競売物件とは、基本的に住宅ローンの滞納などが原因で、第三者(金融機関など)に強制的に物件を売却される物件のことをいいます。一般的に流通している物件は「自分の意思」で売却しているため、その点が大きな違いになります。
また、細かい違いで言うと以下の点が挙げられます。
・物件の説明や案内
・内覧の有無
・瑕疵担保の有無
1-1物件の説明や案内
一般に流通している物件は、不動産会社の営業マンが接客をしてくれるので、物件の説明があります。競売物件だとその説明がないので、特にマンションだと共用部に関してルールなどが複雑であるため、その点も自分で調べ把握しておく必要があります。
1-2内覧の有無
一般に流通している物件は、事前に室内を見る(内覧)ことができます。内覧をすることで、室内の状況を把握し自分の条件に合った物件かどうかの判断ができます。一方、競売物件は基本的に内覧はできません。
1-3瑕疵担保の有無
一般に流通している物件は、売主が瑕疵担保責任を負いますが、競売物件の場合は瑕疵担保責任を負いません。瑕疵担保とは、物件の引渡後に瑕疵(建物の欠陥)があった場合に、売主がその瑕疵を保障する責任があるということです。
このように、一般的に流通している物件と競合物件は、根本的に別物と考えた方が良いです。
2.初心者はハードルが高い
結論から言うと、競売物件を購入するのは不動産関係者の「プロ」であり、初心者が競売物件に手を出すのは危険です。その理由は以下の点になります。
・物件情報や相場価格が不透明
・競売物件にはリスクが多い
・時間や手間がかかる
2-1物件情報や相場価格が不透明
前項のように、競売物件は不動産会社が事細かに物件の説明をしてくれるワケでも、物件内を案内してくれるワケでもありません。そのため、競売物件に残っている重要事項説明書や管理規約などを自分で読み込み、物件を理解する必要があります。
また、それらの資料がないという場合もあるため、物件情報が全くないという事例も少なくありません。さらに、初心者ではそもそも相場価格を調べるのが難しいです。
不動産会社であれば、レインズというネットワークシステムにアクセスして、周辺の過去事例を調べることができます。ただ、不動産業者でない初心者はレインズにはアクセスできませんので、正確な事例情報を集めるのが難しいのです。
2-2競売物件にはリスクが多い
競売物件にはリスクが非常に多いです。そもそも、不動産は高額な商品でありますし、モノ自体が物理的に大きいのでさまざまなリスクがあります。特に、競売物件は前項でいったように「売主に瑕疵担保責任がない」という点が買主にとっては最も大きなリスクといえます。
瑕疵担保責任がないということは、引渡後に重大な瑕疵があっても誰も保障してくれません。たとえば、「シロアリ被害がある」「雨漏りがする」などの重大な瑕疵であったとしても、自分で補修なりの対応をする必要があります。
また、先ほどいったように競売物件とは所有者の意思で売却されるものではなく、強制的に売却させられます。そのため、物件の所有者が「納得いかない」と主張し、室内へ占拠するような場合でも自分で対応しなければいけません。
2-3時間や手間がかかる
このように、競売物件を買う前には自分で色々と調べる必要がありますし、買った後も自己責任の範囲が広いです。また、競売物件は相場価格の半値近くまで下がることも多いですが、お宝物件であればプロである不動産会社も狙ってきます。
そして、競売物件を管轄する裁判所は、所有権を前所有者から買主に引渡したらそこで終わりです。仮に、引渡以降に占有者がいたら退去させる必要がありますし、瑕疵があれば補修する必要があります。
このような手間と労力をかけることを覚悟して、競売物件は取得する必要があります。そのため、初心者が競売物件に手を出すと下手な物件をつかまされるリスクもあり、非常に危険ということです。
3.勝つためにはどうしたら良いか
初心者が競売物件に勝つためには、「情報収集」と「代行サービスを利用すること」です。情報収集は、特にREINS Market Information※1などを利用して、相場価格を把握しておきましょう。相場価格の把握をしないと入札額が決まりません。
また、競売時にサポートしてくれる会社があります。基本的に成果報酬の会社なので、競売が成功しなければ費用が発生しません。競売までの手続き方法や、上述したような点についてアドバイスをもらえるので、競売代行サービスは必須で利用するべきでしょう。
4.まとめ
競売物件を取得するとはリスクが高いです。そのため、もし競売物件を取得しようと思うなら、事前の情報収集と競売代行サービスは欠かせません。価格が安いという点は事実なので、上手くいけばお宝物件に出会えることもあります。