空き家バンクとは?制度や活用方法を徹底解説

現在、日本では空き家の増加が社会問題になっています。この空き家問題を解消するために、空き家バンクというものができ、空き家を処分・活用したい人が利用しています。今回は、そんな空き家バンクについて、活用方法や利用方法、そして注意点なども含めて解説していきます。

1.空き家バンクとは?どのように利用する?

まずは、空き家バンクの概要を解説します。そもそも空き家バンクとはどのようなもので、利用するには何をすれば良いかという点です。

1-1空き家バンクとは?

空き家バンクとは、日本にある空き家を減少させるために、各自治体が独自に解説している機関になります。空き家バンクでできることは、空き家を「処分したい人」と空き家を「取得したい人」「活用したい人」をマッチングすることです。空き家のマッチングサイトだと考えてください。

そのため、空き家バンクに登録しておけば、その空き家に「住む」目的以外の人も現れます。たとえば、その空き家を賃貸したい人や、購入してシェアハウスなどで運用したりする人も対象になるということです。民間会社が行っている不動産仲介業を、各自治体という公的な機関が行っているようなイメージです。

ただし、各自治体が独自に展開しているので、エリアによっては空き家バンクがないところもあります。調べる方法は、サイトで検索するか、最寄りの役所に問い合わせてみましょう。

1-2空き家バンクの必要性

全国的に空き家問題が深刻になっています。(⇒不動産の価値ゼロ!?空き家問題は深刻。都内ですら氷河期到来の予感【コラム】)空き家バンクは、少しでも空き家を有効活用させようと始まったもので、利用者にとっても地域にとっても大きなメリットになります。にも関わらず、空き家があること自体が知られていないことも多く、利用したい人が見つけられないことも…
そういったこれまでの流れから、空き家バンクは生まれました。

また、通常では不動産会社に依頼するのが一般的ですが、築年数も多く古くなってすぐに住む状態ではない空き家は仲介をしてくれないなんてこともありました。
不動産会社にとって全くオイシイ物件ではないからです。仲介手数料があまり見込めない案件はどの会社も乗り気になってはくれません。

しかし、空き家を放っておくとそれだけでデメリットです。

空き家バンクの課題はこれらです。

空き家を持っている人が利用したい人を探すことができる
空き家を利用したい人が空き家を探すことができる
自治体が主体となって空き家の活用を促す

空き家バンクが出来たことによって、良い循環が生まれました。

1-3空き家バンク利用の流れ

空き家バンクを利用するためには、以下のような流れになります。こちらで紹介するのは空き家を登録する所有者側の流れです。空き家を利用したい希望者の流れは紹介しませんので、詳細を知りたい方は自治体にお問い合わせください。

1.必要書類の提出
2.現地調査
3.空き家バンクへの登録
4.募集開始
5.利用希望者が現れる
6.当事者同士で交渉&契約

まずは、各自治体でもらえる「登録申込書」に必要事項を入力して提出します。その他の必要書類は下記のようなものが考えられます。

必要書類であろうもの】※異なる場合もあります

・登録申請書(自治体様式、物件情報の記入を含む場合あり)
・空き家の情報(自治体様式、登録カードとしている自治体が多い)
・同意書(自治体様式、個人情報の取扱や自治体の免責の同意書)
・空き家の資料(公図、写真などその他空き家の資料)
・委任状(所有名義人が複数いる場合)
・媒介契約書(不動産会社と媒介契約が終わっている場合)

その後、自治体の担当者が現地確認を行い、売却・賃貸に問題ない物件かどうかをチェックします。調査の結果、空き家バンクへの登録が可能と判断された場合に、物件が空き家バンクへ登録されます。つまり、空き家バンクに登録しても良いかの審査が行われます。登録申請をするだけですべて登録してもらえるわけではないのです。必ず審査を通過した空き家のみ、空き家バンクに登録されます。

その後、自治体のホームページへ物件が掲載され、空き家を探している人に広く公開されるという流れです。この時点では、ホームページに住所を公開しない自治体が多いです。いたずらや無断で立ち入られて現状が変わってしまうなどの被害が出ないようにするためです。これも物件によって様々で、探そうと思えば探せるものもあります。非公開が希望でしたら、登録時に伝えておきましょう。住所の公開は自治体次第になってくるので、気になるときは直接確認しておきましょう。

次のステップとして、空き家の利用希望者が現れたときの流れを知っておいてください。まず、利用希望者が現れるとすぐに所有者に連絡が来るわけではなく、利用希望者は自治体に利用者登録を行わなくてはなりません。登録が行われた方のみに空き家の住所や所有者の連絡先を教えます。そこで初めて空き家の所有者とコンタクトを取ることができます。コンタクトの取り方は様々で、希望者→所有者、所有者→希望者、自治体→所有者→希望者など様々なパターンがあり決まりはありません。不動産会社と媒介契約を結んでいる物件であれば、利用者登録をせずに不動産会社に連絡がいく場合もあります。

いずれにしても、所有者・利用希望者・不動産会社などが結びつけば自治体の役目は終わります。あとは当事者同士で交渉・契約を行い、通常通りの流れとなります。自治体は、あくまでもマッチングさせることが役割なので、不動産会社と契約を結んでいなければ自分で行わなくてはなりません。これ以降は自治体は全く関与しません。後は通常の流れと同じです。契約が成立する場合もありますし、成立しないこともあります。成立しなかった場合でも自治体は一切の責任を負いません。

2.不動産を売却せずに空き家バンクに貸すことのメリット・デメリット

不動産を売却せず、空き家バンクで賃借人を探す際には、以下のメリット・デメリットがあります。このメリット・デメリットをしっかり把握して空き家バンクを活用する必要があります。

2-1空き家バンクで賃借人を探すメリット

空き家バンクで賃借人を探すメリットは以下の通りです。

仲介手数料が不要
空き家を狙っている人が来る

まず、空き家バンクを利用すると仲介手数料が不要です。先ほど言ったように、空き家バンクは公的な機関が運営しているので、利益を追求しているワケではないというのが理由になります。

また、空き家バンクで物件を探す人は、「空き家」を狙っている人が多いです。空き家は築年数も経過している上に、室内や外観が劣化している場合も多いので、空き家を敬遠する人もいます。その中で、「空き家狙い」の人を探せるということは、成約率が高い人を見つけることができるというメリットがあるのです。

2-2空き家バンクで賃借人を探すデメリット

一方、空き家バンクで賃借人を探すデメリットは以下の通りです。

直接交渉になる
絶対数は少ない

先ほど言ったように、空き家バンクは「空き家を処分したい人」と「空き家を欲しい人」をマッチングさせるサービスです。つまり、両者を引き合わせるだけであり、諸手続きなどを空き家バンクがするワケではないということになります。

そのため、両者は引き合わされてから、価格交渉などを直接行うので、その点は手間がかかりデメリットになります。また、空き家をピンポイントで探している人自体は決して多くありません。そのため、空き家バンクに登録しても、たくさん検討者が現れるかは分からないという点もデメリットといえるでしょう。

3.空き家バンクの注意点

最後に空き家バンクの注意点を解説します。空き家バンク利用の際は以下の点に注意しましょう。

平行して不動産業者へ依頼
書面作成はプロに依頼

先ほどデメリットの項目でいいましたが、空き家狙いの人は多くはないので、検討者の絶対数が少なくなる可能性があります。そのため、検討者の絶対数を増やすために、空き家バンクと平行して民間の不動産業者へも依頼すると良いでしょう。

また、こちらも先ほど言いましたが、空き家バンクを利用した場合には、所有者と検討者が直接交渉になります。ただし、不動産は専門性が高く難易度が高い取引になるため、書類づくりはプロに依頼しましょう。

司法書士に依頼すれば、十数万円程度で売買契約書や重要事項説明書を作成してもらえます。書類を作成してもらえば、比較的にスムーズに契約は進みますし、リスクヘッジにもつながります。

4.まとめ

空き家バンク利用に関しては、以下の点を理解しておきましょう。

・空き家は各自治体が運営しているため、全てのエリアにあるワケではない

・空き家バンクは手数料などかからないメリットもあるが、直接交渉するなどのデメリットもある

・書類作成はプロに依頼するのが安全

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする