売却?相続?空き家はNG『実家をどうするか』決めておきたい4事項

あなたのご両親はご健在ですか?
実家が持ち家であれば、その家をどうするか?なんとなくでも決めていますか?

実は不動産には元気な内に決めておいた方が良いことがいくつかあります。いま日本では空き家問題所有者不明の土地の多さなどが深刻化しています。
ご両親が住まなくなった実家をどうするか、一度話合われることをオススメします。

◆その実家…売却?贈与?相続?

数十年後、いまある実家や不動産をどうするか、計画に入れていますか?
方法としては、

売却(生前)
贈与(生前)
相続(死後)

という3つの方法があります。

いずれにしても「譲り受ける」のであれば、税金の面からみると相続するのが最も安いです。

詳細はこちら(⇒不動産の売却・贈与・相続、税金でお得なのはどれ?

しかし、一概に「相続すれば万事解決!」というわけではないのがまた複雑なところ…こちらは後ほど紹介します。

また、その他にも「空き家にする」という選択肢もあるじゃないと思った方、残念ながらその選択は絶対にNGです。なぜかというと、空き家にすることで得られるメリットは何もありません。そして、それだけではなく大きなデメリットを背負うことになりかねません。

なぜ「空き家にするのが絶対にNGか」について理解した上で検討してみてください。

不動産売却にかかる「費用」を徹底的に”節約”する方法

◆空き家のリスクの恐怖

始めに、ご両親が住まなくなると「誰も住まない場合」が前提として話を進めていきます。
誰も住まないのであれば、「空き家」にしておけば良いと思っていませんか?実は、空き家にすると所有者にとってかなりのデメリットとなる場合があります。「空き家にすれば済む話」は過去のものになっていっているのです。それは、空き家にすることで損をしてしまう法案が関係しています。

◇「空き家対策特別措置法」完全施行

空き家対策特別措置法」という法律をご存じでしょうか。これは2015年5月26日から施行された比較的新しい法案です。空き家問題は深刻化しており、2016年7月に公表された総務省の統計によると全国で820万戸に上ったといいます。空き家を放置しておくと倒壊する危険があったり、ホームレスのたまり場になったり、防犯面など様々な危険が潜んでいます。そのため、この空き家対策特別措置法ができました。その結果、「空き家にすると損させる仕組み」になっています。

その中身とは、空き家の固定資産税は更地の6分の1でしたが、それが更地と同様にするというものです。これによって空き家を所有している人が払う固定資産税は従来の6倍となりました。

どのように特定空き家を取り締まるのか基準はまだ確定していませんが、おそらく自治体に任せる形になると思われます。今後は廃墟同然となっている空き屋を見つけ次第の取締⇒指導⇒勧告といった流れにより「特定空き家」に注意を促していく方針です。

◇1ヶ月で老朽化が始まり、売れにくくなる

家というものは不思議です。

人が住んでいないと、一気に老けます。

人がいなくなって1ヶ月で老朽化が始まりますので、外観にも大きな影響が出てくるでしょう。庭の雑草はボウボウに伸び放題になり、瓦や壁はボロボロになっていきます。また害虫やネズミなど近隣の人にも迷惑がかかる被害にまで拡大することも…また犯罪に利用されるなど新たな被害を生む可能性も出てきます。

家が老朽化し、周りに迷惑をかけるとどうなるか、答えは単純です。いざ、売ろうと決意しても、そのときは既にボロボロになっていたら売れにくくなります。所有者にとっても周囲の人にとっても、空き家というのは何一つメリットがない「逃げの手段」であることがお分かりいただけたでしょうか。

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◆知らないと損する相続のリスク

では次に相続を選択したとすると、年間でかかる費用の計算は必須で行うべきです。
実家を相続すると決意しただけで満足せずに、その先を見据えて決定していきましょう。

例えば、かかる費用をザッと計算すると、年間で計30万円以上かかっていることがわかったケースを紹介します。

Aさんの場合(新潟県)

・固定資産税:4万円
・住民税(均等割のみ):0.5万円
・火災保険:2万円
・電気・水道代:3万円
・町内会費:1万円
・草刈り:3万円
・雪下ろし作業(業者依頼年2回):10万円
・交通費(夫婦で年4回):12万円
年間合計:35万円
加えて、やはり住んでいないと家は老朽化してしまいます。メンテナンス費用なども考慮しなくてはなりません。

生前親と話し合いをせず、死後発覚した現金が残っていたので兄弟を分けて、兄弟間で話し合い結果的に相続することになったAさん。年間35万円もかかるとは思っていなかったため、相続したことを後悔しました。

相続する際には、どのくらいの費用が年間でかかり、利用価値がどの程度あるのかなども含めて把握しておかなくてはなりません。また、相続したものの、誰も使わないからいっそのこと更地にしよう、としても税金に変化が生じます。空き家は「住宅用地の課税標準の特例」によって本来の固定資産税の6分の1でした。しかし、建物がなくなると建物分の固定資産税はなくなるものの、土地の固定資産税は6倍になるというカラクリが隠されています。

つまり、

・空き家にする ⇒ 特定空き家に指定されたら税金が従来の6倍になる恐れがある
・更地にする  ⇒ 土地の固定資産税が6倍になる

という八方ふさがりともとれる構図になってしまいます…

これらを知らずに無計画に相続すると、老後に蓄えていた貯金から切り崩して払っていくことへの不安が芽生えます。では、Aさんはどうすれば良かったのでしょうか?

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◆これらを踏まえて話合っておきたいこと4つ

上記も踏まえた上で、ようやく本題の「親が元気な内に話合っておくべき内容」について話を進めていきましょう。「空き家にすることがいかにリスクか」はご理解いただけたと思います。

やはり、問題にぶち当たったときには後の祭りであることもあります。ご両親が元気な内に家族会議をして、今後の方針を決めておく必要があるでしょう。

【主な話合いの内容】

① 相続する財産はどのくらいあるか
② 誰がどのように相続するのか
③ 相続したあとの実家の処分はどうするか
④ 相続するとかかる費用の計算

【家族会議の流れ】

① 現状の把握
② 空き家・相続のリスクについて理解する(この記事の前半部分)
③ 表1を作成し、現実的な数字を把握する
④ 表2で方針を決定する

【表1】事前チェックシート(把握した上で決定する)

チェック項目 回答
維持 家の主な管理人
(問い合わせ/費用の支払い等)
__________
毎月の手入れ担当者
(掃除・空気の入れ替え・老朽化防止等)
__________
維持費用 固定資産税(年1)         円/年
光熱費(毎月×12ヵ月)         円/年
火災保険・地震保険(年)         円/年
管理会社への委託費用         円/年
現状のまま賃貸にした場合の家賃予想
(毎月×12ヵ月)
        円/年
資産価値 売却した場合の価格予想         万円
取り壊し費用の予想         万円
税金(贈与・相続)の予想         万円

印刷用はココ

【表2】今後の方針チェックシート(決定事項に○をつける)

ご両親 家族が住む 空き家になる
家族が管理 管理会社に依頼 貸す 売る
ご健在 病気・ケガの有無(介護の有無)
認知症の予兆
亡くなられた後

印刷用ココ

上記の表を参考にしながら、今後の方針を話合いましょう。
決定したら、それに伴って依頼する可能性のある専門家(税理士や不動産会社など)も把握しておきましょう。

ご両親がいまはご健在でもいつどんな状況になるかわかりません。だからこそ、現状の把握が大切なのです。今家はどのような状態で、住む人がいなくなったらどうするか、様々なケースを想定しておいても損はないでしょう。家族のことですから、後になってバタバタするよりも、準備しておけば慌てずに適切な対応を取ることが出来ます。備えあれば患いなしです。

「後悔先に立たず」にならないよう、日ごろの感謝も込めてコミュニケーションを取りながら行いましょうね。家族みんなのハッピーのために、まずは少し、出来ることから行動してみてください。

◆まとめ|早めの行動が吉

いかがでしたか?

人生には予想外のことが付き物です。そういった事態を出来る限り『想定内』にするためにも、家族会議での「不動産をどうするか」しっかり話し合われた方が良いでしょう。
ご両親がご健在でも何があるかわかりません。むしろ元気な内に様々なことを決めておいた方が、ご両親としても気持ちが良いでしょう。(元気のないときに自分が死ぬ前提で話し合われたら寂しい気持ちになってしまいますよね…)

元気な内にというのは、何より今日が一番若いのですから、すぐに行動を起こしてみてはいかがでしょうか?人生においてみんなが一番元気なのは『今日』です。話のきっかけにもなりますしご両親も喜ばれることでしょう。

決めておくべきことは覚えている内、元気な内にやってしまいましょう!

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