不動産売却時に誰でも使える査定ソフトがある?有料ソフト3選

■「誰でも使えるソフト」はあることはある…

まずタイトルの「誰でも使える不動産査定ソフトがある?」という問いの回答ですが…。
あるにはある」となります。
完全な言葉遊びになってしまいますが、元来ソフトという存在は、パソコンなどの環境さえ持っていれば、誰もが使えるものです。
ここで紹介する、不動産査定ソフトも「使いたい」と思った人が使えばよいだけなので、結果「誰でも使える」ということになります。
しかし、不動産売買というのは、一定の知識を有していなければ遂行することはできません。
正確に回答をするのであれば「不動産査定の知識を持っている人であれば、誰もでも使えるソフトはある」ということになります。

■不動産の査定とは

不動産の査定とは、ほかの市場とはかなり違います。例えば中古車の査定では、買取価格と査定価格は同じです。しかし、不動産業界では査定価格=買取価格ではありません。ここが大きな違いとなります。査定価格は目安であり、実際の売却価格や成約価格とは異なるのです。
不動産業者はその仲介をしているに過ぎないのです。また、その査定額は様々な要因が絡み合って出されるため、素人では難しいこともあります。そして、プロでも正確な査定額を出すことは不可能です。その金額で売れることもあれば、もっと高く売れる可能性もあるのです。絶妙な査定額はかなり難しいと覚えておきましょう。
査定額に影響するのは主に築年数・間取り・立地条件などがあります。都市部は特に駅からの距離や最寄り駅の利用のしやすさなども影響してきます。また、売主の背景なども考慮されるため、買い主にとってはその見極めが肝心となります。安くてもすぐに売りたいか、ゆっくりでも高く売りたいかは売主の事情次第です。

□査定方法は主に3つ

不動産業者や業界に携わっている人であれば知っていて当然ですが、不動産が査定を行うときは「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」の3つがあります。
簡単に説明すると、
「原価法」…その物件を建築・造成したときにかかる再調達原価を算出し、築年数などによるマイナスポイントを加味した上で現在の価値を推測する方法です。
「取引事例比較法」…その物件の近辺で同じような不動産が過去にいくらで取引されたかの実績を元に相場と比較しながら算出していく方法です。
「収益還元法」…その物件が今後生み出すであろう純利益と現在の価値を総合して価格を算出する方法です。

■不動産査定ソフトとは?

不動産の査定についてわかったところで、本題に移りましょう。
そもそも、「不動産査定ソフト」とはどういったものかというと、不動産業者が査定をするときに手助けをしてくれるソフトです。つまり、売却を検討している人も含めて一般の人は使用しないものになります。不動産査定ソフトを本格的に利用しようとすると膨大なデータと知識、時間と手間を要します。
一般の方が使用するのであれば、「不動産一括査定比較サイト」などを利用して専門の業者に査定だけでもしてもらう方が、時間もお金も節約できます。
不動産査定ソフトは本来業者が利用するものだということを前提として、下記をご覧ください。

■おすすめの有料ソフト3選

基本的に専門性が強いソフトは有料になるケースが多いです。
不動産査定ソフトも、基本的には有料と考えて貰えれば結構です。
1.価格査定マニュアル
ある意味で不動産査定ソフトの登竜門的な位置づけになっている価格査定マニュアル。
公益財団法人の「不動産流通推進センター」が提供しているソフトになります。
年間利用料が3,240円と非常に安く、さらに精度の高い査定額を算出してくれるため、業界ではスタンダードなソフトとなっています。
言い方を変えると、多くの不動産業者が、このソフトを利用していることになります。
結果、業者に査定を依頼したとき、意外と似たり寄ったりの数字になるのは、ここに要因が隠されていることも挙げられるのです。
2.標宅プロ
値段は「125,000円」(2017年現在)と非常に高いです。
しかし、その値段分の仕事をしてくれるソフトが標宅プロになります。
株式会社システム科学研究所という業者が発売しているソフトで、この会社は、これ以外にも、地価、地価調査など様々なデータも扱っています。
つまり、不動産査定に必要な情報を多く有している業者になるため、算出された査定額の信頼性は非常に高いことが大きな特徴となっています。
3.TAS-MAP
株式会社タスから販売されている不動産査定ソフトになります。
この会社を調べれば直ぐに分かりますが、某大手自動車メーカーのグループ企業です。
そして…不動産業界でも活躍をしており、かつソフトウェア開発も長けていることでも有名。
そこが作って提供しているソフトになるため、使い勝手がよいことは間違いありません。
例えば、独自のデータベースを持っており、そのデータベースの質は非常に高いです(不動産業界で得たノウハウを活かしているデータベースのため)。
これを元に査定額を算出させるため、精度の高い数字を弾き出すことが可能となっています。
加えて、収益評価、土地建物評価、マンション評価もできる万能型ソフトとなっています。

■無料ソフトは…存在しない!?

有料ソフトの説明の流れで分かる通り、基本的に、不動産査定ソフトはプロの人たちが利用するものです。
そしてプロの人が利用する場合、無料ソフトを利用することは考えにくいです。
やはり無料には無料の理由があるため、利用するにはリスクが大きすぎます。
(動作保証されているものではないため、実際の現場で使ったとき、何か問題が発生してしまえば目も当てられない状況になってしまうことは容易に想像ができます)
結果、無料ソフトを利用するときのスタンスは、一般人が「自分が所有している不動産がどの程度の価値があるのか?」を確認する程度。
もう少し言うと、不動産売買を副業にしようとしている人が試しに利用してみるというスタンスでしょうか。
残念ながら、無料の不動産査定ソフトは「存在しない」と考えてもよいです。
無料で査定をしたいのであれば、結局のところ、一括査定サービスを始め、HowMA(ハウマ)などWeb上で公開されているサイトを利用する方法が一番です。
よく「Excel_売買ナビ」が紹介されていますが、厳密には「査定ソフトではありません」。
あくまでも売買をするときに、様々な支援をしてくれるだけのソフトのため、査定目的で利用すると、拍子抜けしてしまうことは間違いありません。
それを頭に入れた上で、念のため「Excel_売買ナビ」について紹介していきます。
【Excel_売買ナビ】
・費用は無料
・不動産自体の査定額ではなく、あくまでも取引に必要な諸費用を計算するソフトです
・売主ではなく、不動産業者に向けたもの
重要なのは、これは査定してくれるものではなく、諸費用を計算してくれるものです。不動産会社にとってはなくてはならないものですが、売主が知りたい査定については無関係なので、予備知識として覚えておいてください。また、基本的にテナント用物件など特殊物件には対応していません。用途がある程度限られてきます。
その他、ちょっとやってみたいという方のために【査定ソフト無料版】を2つ紹介します。
◇あくまでも参考に…査定ソフト(無料版)
① 公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)
不動産の価格を査定するためのシステムが制限付きで利用できます。制限とは会員登録を行うこと、会員登録から1年間限定での利用となる条件付きです。査定システムを利用するためには全宅連のHPもしくはハトマークサイトという東京都不動産共同組合の登録システムから、会員になりましょう。
② 株式会社東京カンテイ
株式会社東京カンテイは、会員になると不動産情報を配信してくれ、コンサルティング業務・レポート作成など幅広く対応してくれる会社です。こちらの会社のHPのサーバーにアクセスして直接データを閲覧する形になるので、厳密にいうとソフトではありません。利用料金が無料なので紹介してみました。ただし、会員登録にはお金がかかります。入会金と保証金です。また会員になるには審査があるので、ハードルはそれほど低くないかもしれません。審査を通過し会員登録をしたら、契約を結びデータをダウンロードする形となります。

■1年毎ぐらいに新しいソフトのチェックをすること

ここまで、不動産査定ソフトについて記載してきましたが、1つ注意点を最後にお伝えしておきたいと思います。
それがソフトのチェックについてです。
ソフト業界の移り変わりは非常に早いことで有名です。
したがって、有料ソフトを始め、不動産査定ソフトを利用している場合は、必ず1年ごとぐらいのペースでよいため、新しいソフトが出ていないか?をチェックしておきましょう。
有料ソフトの場合、ソフトのアップデートが行われれば、基本的には必ず通知され対応することが可能ですが…全く違う新しいソフトが出てきたことは教えてくれません。
月日が経てば経つほど、よりよいソフトは多く世に出てきます。
有料の場合は、その都度、お金が必要となってしまいますが。
ともあれ、定期的にしっかりとチェックをしていくことも重要な作業となります。

■不動産査定ソフトはあまり必要ない!?

ここまで有料ソフト3選と無料ソフト「Excel_売買ナビ」を紹介していきました。しかし、そもそも不動産を査定する鑑定ソフト自体はあまり多くはありません。それはなぜかというと、あまり必要がないからです。査定結果の計算方法自体はそれほど難しいものではなく、自作のエクセルでも計算が出来てしまいます。
また、不動産査定ソフトはプロ仕様です。一般の方が利用できる鑑定ソフトはありません。プロ専用のものとなると様々な要望を盛り込まなければならず開発に時間と手間と費用がかかります。それだけかけても不動産業者以外は使わないので投資額と回収額が見合わないのです。
一般の人が使えるソフトがない一つの理由として、プロしか持っていない売却事例が必要になることが挙げられます。査定に必要な事項は、適切な事例を挙げそれを入力することから始まります。駅からの距離や地域、道路づけの状況、高低差などの条件が必要になるので、一般の方が関与できないのです。
また無理に自力で使おうとしても障害が多すぎて手に負えないことが予想されます。

■一般の方は不動産一括査定比較で査定してもらおう

そこで便利なのが「不動産一括査定比較サイト」です。ソフトでとりあえずの査定額を知ることは困難を極め、そしてそんな労力をかけずとも査定額を知ることが出来ます。

とりあえずの査定額を机上査定で出してくれます。不動産会社を一括で比較することが出来るので、どこで頼めば高値で売却してくれるかや、その業者の対応などを見れます。気に入った不動産会社が見つかれば媒介契約を結んだり訪問査定をしてもらったりすることで、売却活動は一歩前進します。

不動産査定ソフトはプロ向けなので、簡単に出来る一括サイトを利用しない手はありません。

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